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治療院は消費税の課税対象になる?消費税課税のルールと注意点

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消費税の課税対象
① 国内において
② 事業者が事業として
③ 対価を得て行う
④ 資産の譲渡等および輸入取引
→ [資産の譲渡等]資産の譲渡、資産の貸付けおよび役務の提供

 

非課税取引(17種)
〇土地の譲渡および貸付け
〇有価証券等の譲渡
〇社会保険医療の給付等
〇住宅の貸付け

 

★治療院(整骨院業)における保険適用の施術には消費税が課税されない
★ただし、自費施術については課税対象となる

 

消費税課税事業者とは?
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えている事業者のこと
事業活動によって受け取った消費税(売上に係るもの)を納付する義務を負う

 

例)
2022年の自費施術売上高1,100万円
2023年の自費施術売上高900万円 の場合 2024年は消費税課税事業者となる

 

2022年の自費施術売上高900万円
2023年の自費施術売上高1,100万円 の場合 2024年は免税事業者だが、2025年は課税事業者となる

 

課税売上高が1,000万円を超えた年に課税事業者になるわけではない

 

ただし、通常の施術の売上だけでなく、事業用に使用していた資産(車など)を売却した場合は消費税課税取引となることに注意!
自費施術売上高+資産の売却額=その年の課税売上高
免税事業者でも自費施術売上高が900万円近い場合は要注意
治療院は消費税の課税対象になる?消費税課税のルールと注意点

 

皆様ご存知の通り、今年の10月からいよいよインボイス制度が開始されます。
整骨院や接骨院などの治療院を経営されている方にとっても気になるニュースなのではないでしょうか。
そこで、今回は、消費税課税の基本的なルールと注意点についてご紹介します。

 

〇消費税の課税対象

消費税が課税されるのは以下の要件に当てはまる取引についてです。
① 国内において
② 事業者が事業として
③ 対価を得て行う
④ 資産の譲渡等および輸入取引
資産の譲渡等とは、資産の譲渡、資産の貸付けおよび役務(サービス)の提供をいいます。
つまり、事業主が行うほとんどの事業活動は消費税の課税対象であるということになります。消費税が課税された取引によって計上される売上高のことを「課税売上高」と呼びます。

 

〇消費税が非課税になる取引

消費税法では17種類の取引については消費税を非課税とする旨を定めています。これらの取引によって計上される売上高のことを「非課税売上」と呼びます。

 

非課税売上となる17種類の取引の内、治療院の経営者にとって身近な取引をご紹介します。
① 土地の譲渡および貸付け:土地は消費される資産ではないため非課税とされています。
② 有価証券等の譲渡:土地と同様に、有価証券は消費される資産ではないため非課税とされています。
③ 社会保険医療の給付等:国民に必要な医療を提供する高度の公共性を有しているため非課税とされています。
④ 住宅の貸付け:居住用物件は非課税です。事務所などは課税対象となります。
整骨院・接骨院で行われる保険適用の施術によって計上される売上高は③社会保険医療の給付等に該当するため非課税売上となります。一方、自費施術の売上は非課税売上に該当しないため消費税が課されます。

 

〇消費税課税事業者と免税事業者

基準期間の課税売上高が1,000万円以上になると税務署へ消費税を納付する義務が生じます。消費税を納税する義務を負った事業者を「消費税課税事業者」と呼びます。
基準期間とは、消費税課税事業者に該当するかどうかを判断するための基準となる期間のことで、課税期間の2期前の期間のことです。(2021年の課税売上が1,000万円を超えた場合は2023年に消費税課税事業者になります)
課税売上高が1,000万円を超えたからと言ってすぐに消費税課税事業者になるわけではありません。2年間の猶予がありますので、その間に消費税の納付に備えて会計処理を整理したり、納税資金を準備することができます。

 

また、基準期間の課税売上高が1,000万円未満の事業者は納税義務のない「免税事業者」と呼ばれます。
免税事業者は「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで免税期間であっても消費税課税事業者となることが可能です。

 

〇課税売上高を計算するうえでの注意点

消費税の課税義務を判定する「課税売上高」には、治療院では「自費療養収入」「物販収入」が含まれることになります。
さらに、車両や備品など事業で使用している資産を売却した場合はその売却価額も課税売上高に含まれてしまうので注意が必要です。

 

例えば、2023年の課税売上高が800万円の免税事業者である治療院の場合、通常であれば問題なく2025年も免税事業者となることができます。
しかし、2023年に買い替えのため車両を250万円で下取りに出すと、250万円が課税売上高とみなされます。課税売上高の合計が1,050万円になり、2025年には消費税課税事業者として消費税の納税義務が発生してしまうことになります。

 

車両や備品の買い替え、売却を検討している場合は、その後の消費税の納税義務がどうなるかも忘れずに考慮しましょう。

 

〇消費税課税事業者が納付する消費税額の計算方法

消費税の負担者は資産やサービスを消費する「消費者」となります。
事業者は、消費者から消費税を預かり、消費者に代わって税務署へ消費税を納めます。
つまり、事業者が税務署へ納める消費税の額は、「売上高×消費税率」で計算したものとなります。

 

A商品100万円(税抜)×10%=10万円
しかし、事業者がA商品を仕入れる際にも消費税が発生しています。
仕入時 A商品50万円(税抜)×10%=5万円
そこで、売上に係る消費税と仕入れにかかる消費税を精算し、差額があれば税務署へ納付または還付してもらいます。
消費税の納付額 => 10万円-5万円=5万円

 

このように、売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除することで、一つの資産、サービスに対して二重に課税されることを防いでいます。

 

仕入れに係る消費税の計算方法には、基準期間の課税売上高5,000万円以下の事業者が適用できる「簡易課税」と、それ以外の事業者が適用する「原則課税」の2つの方法があります。

 

 

〇インボイス制度が治療院に与える影響

今年(2023年)10月からインボイス制度が始まります。治療院の中でインボイス制度による影響を受けるのは、消費税課税事業者となっている場合です。
インボイス制度が始まると、納付する消費税額の計算上、仕入れに係る消費税として計上するためには原則として「適格請求書(インボイス)」を入手することが必須となります。
※基準期間の課税売上高が5,000万円以下で簡易課税を適用する場合はインボイスの入手は不要です。

 

インボイスを発行・交付することができるのは「インボイス発行事業者」として登録を受けた事業者に限られます。
また、インボイス発行事業者となれるのは消費税課税事業者のみとなり、免税事業者が登録を行うと強制的に消費税課税事業者として納税義務が発生していまいます。

 

インボイスの発行を求められるのは、売上先やお客様が消費税
課税事業者の場合です。
治療院のお客様・患者様は個人消費者である場合はほとんどですので、インボイスの発行を求められる可能性はかなり低いと考えられます。
現在、免税事業者である治療院では今すぐにインボイス発行事業者になる必要はないでしょう。

 

 

〇まとめ

・治療院の主な売上である保険適用の施術に関する売上には消費税が非課税である。
・基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると消費税課税事業者となる。
・課税売上高には通常の営業活動に係る売上の他に、車両や備品などの事業用資産の売却額も含まれる。
・免税事業者である治療院ではインボイス制度の影響は少ない

 

免税事業者と比べて消費税課税事業者では、納付する消費税額を正確に計算するためにより厳密な会計処理を行うことが求められます。また、消費税は法人税や所得税と異なり、赤字でも業種や事業規模によっては納税額が高額になる場合があります。
予期せず消費税課税事業者となってしまうことがないように、自院の課税売上高について日ごろからできるだけ把握しておくように心がけましょう。

 

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