接骨院・整骨院税理士Smile|業界No.1実績の税理士法人

接骨院・整骨院 税理士スマイル

開業準備費と開業時注意点

開業準備費

 

今回は、独立開業時の開業準備費と開業時の注意点の話をしましょう。先ず、開業日までにかかった開業準備の支出は経費になるのでしょうか。答えはイエスです。基本的に、開業準備のためにかかった支出は経費になります。具体的なケースで考えてみましょう。開業準備を進めている山田さんは、内装業者との打ち合わせのために自宅から開業予定店舗に電車で行き、現場近くの喫茶店で打ち合わせをし、帰りに本屋に寄って独立開業ノウハウ本を買いました。このケースではどこまでが開業準備の経費になるのでしょうか。

 

先ず電車代がかかりますが、これは開業のために必要な打ち合わせに行くためのものですから経費になります。ただし、領収書がとれないので、必要経費にするためには、交通費明細を作成しておきます。この交通費明細には、日にち、乗車駅、下車駅、金額、内容を記載します。内容には「内装業者と打ち合わせ」と書きます。喫茶店で飲み物を飲みました。業者は帰りに伝票をとりこちらで払いますからといってレジで「別途領収書をくれ」といって領収書をもらっていました。山田さんの支出はなかったので経費は発生しません。業者はきっと会社の「会議費」という経費で落とすのでしょう。

 

さて、ここで逆に山田さんが飲み物代金全部を気前よく私が払いますからといって払った場合はどうなるのでしょうか。この場合は開業準備のために必要な打ち合わせですから、山田さんの経費になります。その場合は、支払った証拠として領収書を必ずもらってください。その際は、先ほどの業者のように「別途領収書をくれ」といって、「宛名は山田で」といいます。個人事業主の場合は、領収書の宛名は苗字か屋号(院の名前)にしてください。「上様」や「宛名なし」「日付なし」はやめましょう。「上様」や「宛名なし」は事業主の経費かどうか特定できません。「日付なし」は何時の事業年度の経費なのか特定できません。ここで領収書をもらわなかった場合は、支払った証拠がないので経費として認めてもらえません。

 

では割り勘の場合はどうでしょうか。山田さんは自分の飲んだ飲み物代だけ支払った場合、これは経費になるのでしょうか。これも開業準備のための打ち合わせのための支出なので経費になると考えるところですが、税務署がみると「これ一人分ですよね。打ち合わせホントにしたの?」となってしまいます。領収書の裏に誰と打ち合わせしたか書いておきましょう。

 

帰りに本屋さんで買った本代は経費になるのでしょうか。「独立開業ノウハウ本」は、山田さんはちょうど開業準備中なので経費にできます。買った本が「徳川家康」だったらどうでしょう。これから経営者としての勉強するために買ったということであれば事業目的に出来そうですが、事業に直接関係ないので経費とするには無理があります。ここでも領収書をもらいますが、レジから出力したまま、宛名のないレシートでも大丈夫でしょうか。金額が僅少で、そのレシートに「ビジネス書」とか印字されていれば問題ないと私は考えます。

 

青色申告と白色申告

 

開業まで大変だった山田さんも無事開業出来ました。開業後に税務署に開業届を提出します。税務署に行けば用紙を一式もらえます。これに記入して提出します。自分でやれば費用はかかりませんが、いくつか注意点があります。申告の方法に白色申告と青色申告があり選択できます。白色申告は、年間の収支のみを集計して申告すればよいので楽です。一方青色申告は複式簿記により帳簿をつけなければなりません。複式簿記による帳簿というのはわかりやすくいうと、入金や出金があった都度その取引を一つ一つ記録し、これを集計した文書を作っておき、売上や経費の集計額の明細がいつでもわかるようになっているものです。これがあると税務署は調査の時にとても調べやすくなります。納税者も悪いことをやっていないことを証明しやすくなります。

 

しかし帳簿を作るのは手間暇が大変です。そこで青色申告を選択した場合、恩典をいくつか設けました。65万円の所得控除、青色専従者控除、赤字の3年間の繰り越しなどです。開業間もない山田さんは税金の支払いを出来るだけ抑えたいので、手間暇かかっても税金の安くなる青色申告を希望しました。その際注意するのは、「所得税の青色申告承認申請書」(以下「青色申告届」)を開業日から2か月以内に税務署に提出することです。提出日が開業日から2か月を過ぎると、その年は白色申告になってしまいます。翌年から青色申告の適用を受けたい場合は、翌年の3月15日までに「青色申告届」を提出してください。

 

専従者給与

 

税務署で奥さんも事業に従事しますかと聞かれた山田さんは「はい」と答えました。すると「青色事業専従者給与に関する届出」(以下「青色専従者届」)という用紙を渡されました。山田さんは奥さんに治療院の受付・経理・雑用をやってもらう予定でした。この届け出は奥さんに給与を支給する場合に事前に提出しておくものです。この届け出がないと奥さんに給与の支給が認められないのです。税法は、そもそも個人事業は、いっしょに事業に従事する家族への報酬は事業所得に含まれると考え、売上から経費を引いた差額である事業所得に対して事業主に課税しています。ここで家族に支払う報酬を給与にできると、これは事業の経費にできるので、事業主の事業所得が減額され、結果として税金も減額されます。一方給与をもらった家族には給与所得が発生し、税金が生じます。どちらが得でしょうか。事業所得が八百万円のケースでシュミレーションしてみると、奥さんに月二十万円の給与を支給すると、税金がトータルで年間約四十五万円少なくなります。

 

これを知った山田さんは、早速「青色専従者届」を提出することにしました。届出書には、青色専従者の氏名、続柄、仕事の内容、従事の程度、給料、賞与の支給期、金額、従業員の給与について記載欄があります。このなかで注意が必要なのは、「従事の程度」です。青色専従者が認められるには、一年間で六か月を超える従事が必要です。一週間でいれば、週五日の稼働日の治療院であれば、週二日半を超える従事、週六日の稼働日であれば、週三日を超える従事が必要です。山田さんの奥さんは、現在近所のスーパーにパートに出ています。パートとの掛け持ちは可能でしょうか。この場合、山田さんの事業に一年間で六か月を超える従事をして、スーパーでのパートの日数を減らせば大丈夫です。次に給料、賞与の金額ですが、これはその仕事の一般的な相場で決めます。受付業務であれば、その地方で求人したら月額二十万円、賞与夏一か月、冬一か月が相場であれば、そのように記載してください。相場以上の支給は認められません。開業間もない山田さんは、まだ奥さんに給与を満額支払う余裕がありません。このような場合も届け出した金額を満額支払わなければならないのでしょうか。このような場合は、届け出した金額の範囲内であれば認められます。

 

青色専従者になったあとで注意するのは、出産の時期の支給です。出産の前後で仕事に従事していない期間の給与の支給は認められません。病気で従事できなかった期間も同じです。また、「青色専従者届」は出したが、実際には仕事に従事していない場合の支給も当然ですが認められません。税務調査ではここがポイントになります。「仕事の内容」として受付業務・経理として届け出ていれば、受付の際に記入している手書きの日計表をみて筆跡が確かに奥さんなのかチェックされます。奥さんも施術する場合は、施術録の筆跡をチェックされます。事業主の所得より奥さんの専従者給与が多くなっている場合も要注意です。トータルの税金の支払いを少なくするために意図的にこのようにしているとみなされると、奥さんの過払い分の給与は事業主の所得とみなされて追徴されます。意図的であれば重加算税が付きます。

 

まずは、無料相談にお越し下さい

 

今回のブログの内容だけでなく、税務・会計に関することでわからないことが
ございましたら、お気軽に無料相談にお越しください。メール・電話でも相談を
承っておりますので、下記「お問合せフォーム」からご連絡ください。