上田会計週報『海外転出届と住民税課税』2017.07.10
前年帰国者の「住民税の税額決定・納税通知書」が届いた!?
個人の住民税は、その年1月1日に住所がある市町村から課税され、5~6月に「住民税の税額決定・納税通知書」が送達されます。給与所得者は、特別徴収納付ですので、納付書が特別徴収義務者である雇用主に送付され、給料から控除されて納税されます。それ以外の納税者は、普通徴収制度により、年4回にわたり自分で納付します。
先日、前年中に本国に帰国していた外国人宛に「住民税の税額決定・納税通知書」が届きました。帰国前に「納税管理人届」を市町村の税務課に提出していたのに、なぜ1月1日が賦課期日である今年の分の「住民税課税書」が届いてしまったのでしょうか?
考えられるいくつかの原因
1月1日現在住所が有るか無いかは、住民基本台帳によります。この台帳は住民の方々に関する事務処理の基礎となるものです。住民税等の関係で市町村に提出する「納税管理人(変更)申告書」(注:各市町村で名称が異なる)は、納税管理人を届け出るものであり、それをもって出国の有無や日付が証明されるものではありません。別の公的手続で出国(日)が確認されます。
(1)「在留カード」が未返納か?
日本を出国するとき、空港で「在留カード」を入国審査官に返納することとなっています。この返納により、出国の事実が、在留カードに記載された自治体に通知されます。なお、この通知までの期間は長ければ6か月から1年くらいかかるようです。通知の遅れが原因だったのでしょうか。
一方、“記念”に在留カードを返納せず帰国する人もいます。原因はそれでしょうか。
(2)「転出届」を出していなかったか?
日本での勤務を終えて母国に帰国するに際しては、市町村の住民登録担当窓口で、転出の届出をしなければなりません。転出届先は同じ自治体ですので税務課も遅滞なく出国の事実は把握できます。
外国人の帰国時には「転出届」を忘れずに!
この会社では過去何人もの外国人出向者がありすでに帰国者もいましたが、こうしたトラブルは初めてでした。国民健康保険で脱退手続きがあれば出国手続きもしたでしょうが、転出届を出さぬまま、居住者カードも返納しなかったことが原因かと思われます。のちのトラブル回避のためにも、転出届は必須です。
採用時のビザの確認もそうですが、外国人雇用には独特の注意点がありますので、ご留意ください。