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上田会計週報『中期経営計画が陥る誤り』2016.01.25

中期経営計画は、3~5年を期間として策定される経営計画で、成長性・効率性・健全性などを指標とし、企業体質の改善を主眼として策定されます。短期経営計画(1年)が事業目標の達成、長期経営計画(10年)が経営ビジョンの実現に置かれるのに対して、中計(中期経営計画)は業績への影響度が最も大きいとされています。

中期経営計画で生じやすい誤り

中計でよく起こる誤りは「過去の成功要因に対するこだわり過ぎ」にあります。

例えば、強力なブランド力を持つ商品の独占販売契約が過去の成功要因で、利益の主要な源泉となっていた場合、その要因が不変であると考え、中計で販売拠点の増加など体制強化に務めたが、当てが外れて、中計期間内に生じた市場・顧客の変化によるブランド力の低下で、市場の偏在在庫の膨張、倒産につながった、などのケースが過去に起きており、一般的にこのような外部環境変化に対する適応力の弱さが中計挫折の原因となっております。

中期経営計画で的確な環境適応を

このような誤りを防ぎ、時代の様々な変化を把握して、企業の環境適応を的確に行なうことで、成長性・効率性・健全性が確保され、体質を強化することができます。

そのため、中計の基本的フレームワークとして、外部環境・内部環境の変化を的確に評価するSWOT分析・クロスSWOT分析等の手法を活用し、「強みを機会に活かすこと」が重要ですが、中計の場合、最も注意を要するのは、過去の強みや機会(成功要因)にこだわり過ぎ、それを制約条件としてしまう誤りで、その結果変化に対する対応力を弱めてしまうことです。

経営者の留意点

トップは外部環境・内部環境を直視し、特に過去の成功要因については、変化が起こり得ることを前提とした代替施策を準備することも必要です。成功要因が存在し続ける筈だと見る“希望的観測”を避け、過去の成功要因が実際に事業発展の制約条件となり始めたときには、代替施策を始動させる周到、かつ柔軟な変化への対応に注力しましょう。

中期経営計画の真の目的は、経営環境に適応することにあり“過去の成功要因が持続する希望的観測”はその有効性を阻害することもある点に注意が必要です。