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上田会計週報『償却方法及び耐用年数と組織再編』2016.02.01

包括的承継の個人と法人

個人の相続は包括的承継といわれ、判決では、償却方法は法令の文理解釈から引き継ぎなし、耐用年数は法令の趣旨解釈から引継ぎ、とされています。(最高裁係争中)

法人に関しては、同じく包括的承継といわれる適格合併や会社分割等について、係争になっている事例はないのですが、実務の取扱いはどうなっているのでしょうか。

「移転・引継ぎ」という表現で

適格合併・適格分割型分割により資産等を移転した場合には被合併法人の合併直前の帳簿価額による引継ぎをする、ことと法令上表現されています。「譲渡(取得)」という言葉に対する「引継ぎ」との言葉を対置しての使い分けで、法人税法では、適格合併・適格分割型分割のみを包括的承継の性格を有する組織再編と位置づけして立法したように見受けられます。

組織再編の多様性と包括承継

減価償却資産の所有権変動を伴う適格組織再編には、合併・分割・現物出資・事後設立・現物分配があります。

このうち、適格合併・適格分割型分割以外は、簿価引継ぎとしての「譲渡(取得)」という規定なので、取得資産は新品の取得ではなく、中古資産の取得に該当することになります。従って、中古資産に対する耐用年数の特例が適用できます。

なお、合併は100%の会社分割で、分割型分割は分社型分割と子会社株式現物分配(あるいは株式交換)との組合せで、代替できてしまいます。

それ故か、適格合併・適格分割型分割も、初めは引継ぎ耐用年数のみの適用でしたが、「引継ぎ」も「取得」の一種との解釈となり、今では、他の適格組織再編に対するものと同じ扱いになっています。

包括承継の場合の償却方法の引継ぎ

償却方法の引継ぎがないという点は、法人税でも、個人所得税での相続の場合と同じ扱いのようです。

ただし、法人税には、実質的に償却方法の引継ぎがあるとの公開情報があります。合併や分割での資産承継法人の引継ぎ取得時期としての過去の時点において、その資産承継法人が選択していた償却方法が、資産引渡し法人と同じならば、その償却方法が適用になる、とのことなので、実質的に償却方法を引き継いだと同じ結果になります。(なお、遡及しての償却方法の選択届も認められています。)