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治療院の接待交際費

飲食代

 

治療院を経営する山田さんは仲良くなった患者さんから一緒に飲みに行こうと誘われました。待ち合わせして入ったのは安い居酒屋。ひょっとして高級クラブかもと期待していた山田さんはガックリ。気を取り直して飲んでいるうちにアルコールがまわり楽しくなってきました。帰りに「お勘定」と患者さんが言ったので、おごってもらえると思っていたら「割り勘にしましょう」と言われて、酔いが醒めてしまいました。とりあえず居酒屋の領収書はもらったのですが、これは治療院の事業に係る必要経費になるのでしょうか?税務上は「専ら事業の遂行上必要と認められる場合に限り」必要経費として認められます。

このケースは山田さん一人の飲食代で、接待していないので必要経費とするのは無理です。では、このケースで、山田さんが飲食代を全額負担し患者さんを接待した場合はどうなるのでしょうか?この場合は、得意先の接待になるので必要経費として認められるでしょう。しかし、治療院側が患者を接待するのは常識的にはちょっと変ですね。患者の悪いところを治すので、治った患者から接待されるのが普通と思われます。接待する客観的な理由が必要でしょう。では、従業員を慰安のために居酒屋に連れて行ってその費用を山田さんが負担した場合はどうでしょうか?その負担額が常識的な額であれば必要経費になります。

 

ゴルフの会員権代、年会費、プレー代

 

山田さんは最近ゴルフにハマっています。月に一度ぐらい同業者の友達といっしょにプレーしていますが、このプレー代は必要経費になるのでしょうか?また、ゴルフの会員権も安くなってきたので購入も考えています。会員権の代金や、年間の会費は必要経費になるのでしょうか?山田さん一人分のプレー代は、接待のための支出ではないので必要経費にはなりません。では全額山田さんが負担した場合はどうでしょうか?相手が同業者の友人の場合、その接待した目的が事業に関連するものかどうかがポイントになります。単に遊びが目的であれば当然必要経費にはできません。その友人が分院を持っており、分院経営のノウハウを教えてもらったお礼だったらどうでしょうか?これは必要経費として認められると思います。しかし、税務調査で領収書しか残っていない場合は、口頭で説明しても本当かどうか調査官から信じてもらえないかもしれません。接待した相手の会社名、氏名、接待の目的を領収書のウラにその都度記入しておく習慣をつけておきましょう。

かつて税務調査で過去5年分の交際費について、接待した相手の会社名、氏名、接待の目的を書面で明らかにするようにと言われたことがあります。その治療院は交際費が業界平均よりかなり多かったので税務署から目をつけられたようです。過去5年と言われても事業主は憶えていません。こんな思いをしたくなかったら、あやしい支出を経費に入れるのはやめましょう。

次にゴルフの会員権の購入代は費用にはなりません。法人で購入する場合は、その名義を法人にすれば、法人の資産になります。年会費は会員権を法人で資産計上している場合は、法人の交際費になります。ただ法人で購入しても、これを役員が個人的な利用しかしない場合は、交際費ではなくて役員賞与になってしまいます。

 

従業員への支出

 

山田さんの治療院ではスタッフが数名働いています。夏には毎年慰安旅行に温泉に一泊二日で行っています。この費用は全額必要経費になるのでしょうか?この場合、従業員も一部負担しその事業主の負担が少額で、その旅行の期間が4泊5日以内(海外旅行の場合は外国での滞在日数が4泊5日以内)、旅行に参加した人数が全体の人数の半分以上であれば、山田さんの事業の福利厚生費として必要経費として認められます。金額が多いと判断されると、その部分は従業員への給与になります。旅行に行かなかったスタッフに代わりにお金を渡した場合は、これは給与になります。慰安旅行に家族や患者さん友人を招待した場合はどうなるのでしょうか?家族分は個人負担となり、事業の必要経費にはなりません。患者さんの場合は、交際費になります。友人の場合は、先ほどのゴルフの接待と同じです。

山田さんはスタッフに新しい手技を学ばせるため東京に宿泊で研修に行かせようと思っています。この支出は経費になるでしょうか?その研修が治療院の業務を行うために直接必要な場合には、研修費として必要経費になります。同業者団体が主催する主に観光旅行を目的とした団体旅行は研修費にはなりません。事業主が行った場合は個人負担、スタッフが行った場合は給与になります。

山田さんのスタッフが今度結婚するので祝い金を渡そうと考えていますが、これは必要経費になるのでしょうか?税務上は、従業員や元従業員、またはその親族などへの慶弔費は、一定の基準に従って支給される場合、必要経費として認められます。慶弔費支給規程を作成しておきましょう。

 

広告宣伝費、寄付金等との違い

 

山田さんは、治療院にみえた患者さんに治療院の名入れタオルを無償で差し上げています。これは交際費、それとも広告宣伝費?個人事業ではいずれも必要経費ですが、法人の場合は後で述べるように交際費になると一部または全額経費にできません。税務上は、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなどの物品を贈与するために通常要する費用は主として広告宣伝効果を意図して支出されるので広告宣伝費になります。従って治療院の名入れタオルは広告宣伝費になります。患者さんに施術用のテープやシップの新製品を試用品として提供する場合も、広告宣伝費になります。

山田さんの患者さんでよく他の患者さんを紹介していただいている方がいます。盆暮れにお中元、お歳暮として商品券かビール券を渡したいと思っていますが、これは必要経費になるのでしょうか?これらの支出は、税務上は接待交際費になります。患者の紹介を生業としている業者に一定の基準で紹介手数料を支払う場合は、交際費ではなく、紹介手数料になります。

山田さんには今度の衆議院選挙で応援している候補者がいます。いくらか寄付したいと思っていますが、これは事業の必要経費にできるでしょうか?事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用が交際費です。従って選挙候補者等事業に直接関係のない者に対する金銭贈与は寄付金となり、事業の必要経費とはなりません。ただし、個人として選挙候補者の後援会に寄付する場合は、所得税控除の対象になる場合があります。

 

個人事業と法人の課税の相違

 

山田さんの治療院は業績も良く、同業者の友人から法人成りした方がいいといわれました。ただ接待交際費については法人では一部経費にならないといわれました。これはどういうことでしょうか?接待交際費についての税務上の取り扱いは、個人事業と法人で相違があります。個人事業では、接待交際費は全額必要経費になります。一方、法人では、資本金が1億円以下の中小企業の場合、四百万円までの交際費については、その9割が損金(個人事業の必要経費のことを法人では損金という)として認められます。1割は所得(法人の所得のことで法人税課税対象になる)になってしまいます。四百万円を超えた部分は全額損金にならないで所得になります。山田さんの昨年1年間の接待交際費は五十万円でした。法人の場合は、このうち9割の四十五万円が損金になり、五万円が所得となり課税対象になります。尚、平成21年度の税制改正により、平成21年4月1日以降に終了する事業年度から四百万円の枠が六百万円に拡がりました。

山田さんは法人成りした友人から、法人でも五千円以下の飲食代は全額損金になるといわれました。これは、接待交際費になる飲食代で、その一人当たりの支出額が五千円以下で、会社の役員、従業員、親族以外への接待で、領収書のほか、接待した相手先の会社名、氏名、その関係、人数を記載した書類を保存することが要件になっています。

法人の税務調査では、広告宣伝費や福利厚生費、研修費など接待交際費以外の科目のなかに、接待交際費になるものがないかがポイントになります。もしこのような支出が見つかれば、その支出の1割または全額が損金とならず、法人の所得となり追徴されます。ベテランの調査官は、その法人の接待交際費が4百万円前後だと、調査ポイントをこの点に絞って調査をします。見つかると全額所得加算になるからです。

 

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