「中小企業等経営強化法」の適用
※2017年06月13日のヒーリングマガジンに掲載した文面です。
国は中小企業の経営を強化するため、平成29年4月より経営力向上計画の認定を受けた事業者(法人、個人事業主)に対して、計画実行のための支援措置(税制措置、金融措置)が受けられることになりました。今回はその中で、治療院向けに適用するとメリットのあるものを紹介させていただきます。
固定資産税軽減措置の概要
中小事業者が平成29年4月から平成31年3月31日までの期間に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得した場合、固定資産税が3年間にわたって2分の1に軽減されます。ここでの一定の設備とは、一定期間に販売されたモデルで、経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備です。この設備は工業会等からの証明書を取得する必要があります。
器具備品の場合は、最低1台30万円以上で販売開始6年以内のものが対象です。治療院の場合は、治療用機器が該当すると思われます。この場合、さらに対象地域と対象業種に条件があります。対象地域が埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府の7都府県以外は全業種が対象なので治療院も対象になります。7都府県については、東京都だけ、医療業が適用外となっていますので、接骨院などの治療院はこれに該当し適用外になるものと考えられます。他の6都府県は、医療業は適用対象となっています。
空調設備などの建物附属設備についても最低1台60万円以上で販売開始14年以内のものについて同様の措置があります。経営力向上設備については、経営力向上計画の認定後に取得することが原則になっていますが、例外として経営力向上設備の取得日から60日以内に経営力向上計画が受理された場合も認められます。これから治療用機器等を購入される場合は、業者に事前に固定資産税の軽減対象になるかどうか確認してください。購入ではなく、リースにする場合も対象資産が固定資産税軽減措置の対象になる場合は、リース料が軽減されますのでリース会社に確認してください。
中小企業経営強化税制の概要
青色申告の中小事業者が平成29年4月から平成31年3月31日までの期間に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得した場合、即時償却又は取得価額の10%の税額控除を適用することができます。ここでの一定の設備とは、生産性が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備(A類型)、投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備(B類型)です。設備の種類及び適用対象最低金額は固定資産税軽減措置と同様ですが、70万円以上のソフトウエアが追加されています。A類家の設備は工業会等からの証明書を取得する必要があります。B類型は工業会等からの証明書を取得する必要はありませんが経済産業局からの確認書を取得する必要があります。
さて治療院の場合はこの税制が適用できるのでしょうか。この税制は業種が指定されており、医療業は対象になっていますが、医療保健業を行う業者は対象設備に制限があります。器具備品、建物附属設備については医療保健業を行う業者は適用対象外になっています。ソフトウエアについてはこの除外規定はありません。接骨院などの保険施術を行う治療院は、治療機器などの器具備品、建物附属設備については適用対象外ですが、保険請求ソフト等のソフトウエアは適用対象になると考えられます。但しA類型では情報収集機能及び分析・指示機能を有するソフトウエアに限られます。B類型ではこの制約はありません。
金融支援の概要
経営力向上計画が認定された事業者は、政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する通常とは別枠での信用保証等の資金調達に関する支援を受けることができます。主な支援措置をご紹介します。日本政策金融公庫は、設備投資に必要な資金について低利融資(通常金利から0.9%引下げ)を受けられます。商工中金では独自の低利融資が受けられます。民間金融機関の融資については、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大を受けられますが、新商品・新サービスなど「自社にとって新しい取組」(新事業活動)に限られます。
経営力向上計画の概要
さてこれまで述べた「中小企業等経営強化法」各種支援制度の適用を受けるためには、「経営力向上計画」を作成し、認定を受けなければなりません。具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。その手順について述べます。①事前確認を行います。適用を受けたい制度についての適用対象者の要件に該当するか。税制措置を受けるためには、計画申請時に工業会証明書や経産局確認書等が必要です。金融機関の支援を受けるためには、計画申請前に関係機関に相談することが必要です。②事前確認が出来たら次に経営力向上計画の策定に入ります。先ず、「日本標準産業分類」で該当する事業分野を確認します。あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所は、医療業の中の療術業になります。次に事業分野に対応する「事業分野別指針」を確認します。この指針を踏まえて計画を策定します。医療分野の指針を見ると、平成26年12月末現在の柔道整復の施術所45,572施設との記載あり。経営の特徴として、「人」が支えるサービス業であり、優れた人材の確保及び定着が重要。経営力向上に関する目標は、収益の中心が保険診療のため収入増を目指すには制約がある。職員の離職率の引下げ、勤続年数の長期化、定着率の引上げ、ICT(情報通信技術)の活用によるコストの削減。柔道整復の施術所については、サービスの品質向上について地域におけるニーズや他の医療機関等の存在を踏まえたサービスの向上の実施。。。以下省略。③経営力向上計画の申請・認定。各事業分野の主務大臣に計画申請書と必要書類を提出。提出から認可までめどは30日です。
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