接骨院・整骨院税理士Smile|業界No.1実績の税理士法人

接骨院・整骨院 税理士スマイル

生前贈与の活用

こんにちは、整骨院・接骨院税理士Smileです。

今回は手技療法業界で生前贈与というものが、どのような効果があるのか見ていければと思います。例によって、山田さんという架空の接骨院の先生に登場してもらいましょう。

接骨院を営む山田さんは、子ども二人が来年大学と高校に進学する予定です。入学金や授業料などがかかりそうです。山田さんは、かつて治療院の開業資金の一部を親に出してもらったことがあります。

また親にお金を出してもらうのは気がひけますが、ここは一度お願いしてみようかと考えています。ただ開業時に親に出してもらったお金は、そのままだと贈与になると聞き、親からお金を借りて返済することにしました。そういえば、教育資金を祖父母から孫に贈与した場合は贈与税がかからない制度ができたという話を聞いたことがあります。いったいどんな制度なのでしょうか。今回は、生前に親から子または孫に金銭等を贈与した場合、税金がどのようにかかるのか見ていきましょう。

・相続より贈与の方が不利?

日本では、個人が亡くなった際に金銭や株式、不動産などの遺産についてこれを相続した人に相続税が課税されます。ここで、この相続税の課税をされないように生前に子供に金銭等を渡すことが考えられます。ここで課税をしないと、相続税逃れになってしまうので、贈与税を課税するのです。

同じ金額を相続するよりも贈与の場合の方が税率が高く非課税枠も小さいので不利になってしまいます。

贈与の基礎控除金額は年間110万円です。金銭等の贈与を受けた日とはその額が年間で110万円までなら、贈与税がかからないという事です。例えば1000万円の贈与を受けた人は、110万円を差し引いた890万円に課税されるということです。

・贈与の具体的なやり方

そこで財産が多く、相続税も多くなりそうな親は、子どもに毎年110万円贈与すると、10年間だと子供一人毎に1,100万円非課税で贈与が出来てしまいます。この場合注意するのはやり方です。一回の贈与毎に子供と贈与についての覚書を交わし、子どもが管理している預金口座に振込み記録を残しておいて下さい。親名義の通帳から子供名後の通帳に預金を振り替えても、子ども名義の通帳と印鑑を親が管理している場合は、この子供名義の預金は実質的に親の預金だとして贈与と認められず、相続財産になってしまうことがあります。

・親からの開業資金・事業資金の受け方

山田さんが治療院の開業資金・事業資金を親から一千万円出してもらい、この返済は不要と言われたら、うれしい反面、贈与になってしまい、贈与税を支払うところでした。ここで親から出してもらった1,000万円の受け方は「相続時精算課税」を使うか、親から借入金として毎月返済するかです。

「相続時精算課税制度」は生前贈与額が累計で2500万円までは非課税になります。そのかわり相続時にこの生前贈与額も相続財産に含めて相続税の計算をします。今回は1000万円なので贈与税はかかりません。

親からの借入金にした場合は、毎月なり毎年なりの定期的な返済が必要ですが、途中で親が亡くなった際の残金が900万円だった場合、この子への貸付金900万円を本人が相続すると親からの借入金900万円と相殺され、借入金は無くなり、他に相続財産が無ければ相続税もかかりません。マジックのようですが本当の話です。

さらに実質的に返済しなくても借入金が減って行く方法があります。毎年の返済額と支払利子の合計が110万円以下の場合は、毎年の贈与の基礎控除額の範囲内となり、毎年の返済額と支払利子額の合計を一旦親に返済し、その後贈与してもらうと、その贈与額には贈与税がかかりません。お金は行って来いですが、借入金は減って行きます。ここでお金のやりとりをしないで、借入金の返済の免除を受けた場合は、個人事業を営んでいる山田さんが事業資金として借入金の返済免除を受けたことになり、贈与ではなく債務免除益という所得が山田さんにたち、所得税を納めることになる場合があります。お金のやり取りを行っても内容によっては同じ扱いになることもあります。このあたりを実際に検討されている場合は専門家にご相談ください。