第23回 医療費控除
医療費控除の概要
治療院を経営している山田さんは、そろそろ確定申告をしなければと思っています。その際、自分や家族が医者等にかかったときの治療代が自分の所得から差し引くことができると聞きました。医療費控除は、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができるという制度です。その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が対象になります。医療費控除の対象となる金額は、実際に支払った医療費の合計から保険金などで補てんされる金額を差し引いた金額からさらに10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額)を差し引いた金額で最高200万円迄です。山田さんは自分と家族の医療費の領収書を合計すると30万円ありました。この場合は、30万円から10万円を差し引いた20万円が所得控除できます。
医療費の合計が10万円以上でないと医療費控除は受けられないと思っておられる方が多いようですが、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、医療費が10万円未満でも控除を受けれることがあります。山田さんの医療費が9万円、総所得金額等が150万円の場合はその5%の7万5千円を超える1万5千円が所得控除できます。この医療費控除を受けるためには、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を税務署に提出する手続きが必要です。
控除対象になる医療費
山田さんは医療費の領収書を見ていると、医者以外のものはどうなるのだろうという疑問がわいてきました。山田さんは柔道整復師として接骨院を営んでいます。患者さんからこれは医療費控除の対象になるの?と聞かれたことがありました。税法では、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価は医療費控除の対象になっています。ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。では、施術のうち社会保険対象のものと保険外の施術だと、どちらも医療費控除の対象になるのでしょうか?税法ではあくまで「その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」とされており、保険外の施術だからダメという条文はありません。余談ですが、接骨院に対する保健所への患者からのクレームで多いのは施術代の領収書をその都度発行してくれないというものです。手書きだと面倒くさいので月に一度とか、年に一度まとめて領収書を発行する治療院もあるようですが、レジを導入してその都度発行するようにしましょう。
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