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上田会計週報『経理処理の留意点 繰延資産と長期前払費用』2015.09.07

繰延資産とは

中小企業会計指針によると、「既に代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用を資産として繰り延べたものをいう。」とあり、「旧商法に規定する創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費、新株予約権発行費が繰延資産に該当するが、税法に規定する繰延資産は、長期前払費用等とする。」と言っております。

 

長期前払費用とは

中小企業会計指針によると「前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価をいい、前払利息、前払保険料、前払家賃、前払保証料等が該当する。」そして「年度末後1年を超えて費用となるものを長期前払費用とする。」と規定しております。

 

会計指針自体が矛盾しています

要は「既に役務の提供が終わり効果が長期間続くものを繰延資産、これから役務の提供を長期にわたって受けるものを長期前払費用」と言っておきながら、「税法上の繰延資産は長期前払費用等としろ」と言うから現場では混乱が起きるのです。

 

繰延資産に対するスタンスは

どうしてこんなことが起こるのかと言えば、税務上は多額の費用であっても効果が長期にわたるのだから、減価償却資産と同様に扱うべきと主張し、会計上は費用の塊で何の資産価値もないのだから、資産に計上するのは最低限にすべきと主張して、対立しているからです。

そこで、税務上どうしても資産にしろと言うのなら、繰延資産と言う表示ではなく長期前払費用等他の科目にしてくれといった一見子供じみた対立が今でも続いているのです。

現場の経理担当者はいい迷惑ですが、税務上の繰延資産は、一般的には長期前払費用に含めて処理されているのが現状です。