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ミネルバ会計週報『換価分割の課税関係』2020.4.27

言執行者と相続人と受遺者

家事事件手続法は、①現物分割、②代償分割、③換価分割、を遺産分割方法と定めています。

換価分割は、金銭に換えて分割することなので、遺産の分配基準の公平性に優れているというメリットがあります。

 

 

相続財産性と換価差額

換価金銭は、相続財産そのものではないものの、金銭へと変化した相続財産なので、そのまま相続税の課税対象になります。課税価格の計算に於いては、その取得金銭の価額で計算することになるとも考えられますが、代償分割が行われた場合の代償金の課税価格の計算と同様に、換価金銭の額そのままではなく、換価した財産の相続税評価額への圧縮計算を行うことも可とされています。

 

 

遺言執行者と相続人と受遺者

換価遺言の場合、遺言執行者に管理処分権限があるものの、換価する相続財産に対して、遺言執行者に所有権があると言い切るのは難しく、また、受遺者についても、所有権を有しているとは認められず、さらに、相続人には、換価代金を換価相手から収受する権利もなく、実質的にも財産を支配する状態にはありません。また、遺言者の真意に照らしても、換価代金の分配とは別に、換価される相続財産をわざわざ相続人に帰属させる意思があるとは解しがたいところです。

 

 

不動産登記と換価分割

しかし、不動産登記の場面になると、法務局としては、遺言執行者による第三者との直接的な換価行為を認めたがらず、一度相続人に相続登記をして、その登記された相続人の名義で換価処分としての譲渡行為を行う、というような、所有権者と譲渡行為者の擬制を求めてきます。この名義擬制の登記の関係は、信託の場合の委託者、受託者、受益者の権利関係に類似しているので、信託税制と同様の課税関係になります。

 

 

不動産登記の擬制と課税関係

国税庁の照会情報では、遺産分割の調停により換価分割をすることになり、共同相続人の1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとした場合、それは単に換価のための便宜のものであり、贈与税の課税が問題になることはない、と解説しています。即ち、譲渡益の課税関係も、名義人ではなく、受益者に生じることになります。