ミネルバ会計週報『定年延長の真の目的』2019.10.15
生命保険業T社は、65歳定年制を導入するとともに、65歳まで、賃金体系が変わらない賃金制度を導入。また最長70歳まで雇用する処遇制度を整備し、全社員が意欲と能力に応じて働くことが出来るようにしました。
また、定年延長に伴い、退職年金制度を改定する等により、処遇制度は仕事・役割・貢献度反映型で、年齢にかかわらず、パフォーマンスに応じて活躍できる仕組みを構築しました。
真の目的とは
仕事・役割・貢献度に応じたメリハリのある評価・処遇がなされ、定年延長、および関連制度の改定目的「従業員が長く元気に意欲的に働けること」と併せて、本制度を活かし、若手からシニア層まで全ての従業員が、競争意識を持ち高い意欲を持って活躍できるよう、中長期的かつ戦略的な人員配置や、計画的な人材育成を行っていくことが期待され、これは
定年延長の真の目的「全ての従業員が高い意欲で元気に働くことにより、生産性の向上を実現すること」
を達成しつつあると言えます。
また、本制度改定と併せて初任給の引き上げ、子ども手当の新設といった福利厚生制度の改定も行っており、少数精鋭を掲げる同社では、全従業員が存分に力を発揮し活躍する重要な基盤の一つとなっています。
経営ビジョン実現力の向上
経営ビジョンは自社の“夢と希望”、言いかえれば、“自社が社会に存続する意義、目指していること、やりたいことを”明文化し、社員やステークホルダーに示して、将来への道筋を指し示すもので、次のように、経営の基盤となる多面的な力があります。
〔経営ビジョン力〕
① 将来に向かって自社が社会に貢献して行く領域・目標・道筋を示し、ステークホルダーの支持が得られる。
② 経営ビジョンを実現するための長期経営計画、経営目標の設定につながる。
③ さらに、中期経営計画・目標、年度経営計画・目標とそれらを達成する目標管理制度の運用につながる。
④ 社員が経営ビジョンを感得することによって、一人ひとりが働く意義を見出し、組織全体と個々人に業務遂行のバイタリティーが生まれる。
すなわち、定年延長は経営ビジョンの実現力を強化することになるのです。