上田会計週報『上級専門職等の給与制度』2015.12.14
役割・成果責任に基づく処遇制度を導入し、役職者を「マネジメント職群」と「上級専門職・上級技能職群」に区分して制度設計を行なう場合で、後者の「上級専門職・技能職群」の給与制度について、設計のあり方を述べます。
上級専門・技能職群の給与制度設計
「マネジメント職群」の成果責任が組織目標の達成にあるのに対して、上級専門職・技能職群の役割は、個人のパフォーマンスによって組織目標の達成に貢献することにあります。そこで、そのモチベーションを高めるため、例えば下の表に示したような制度を設計、適用します。
① 専門レベルに応じて設定した等級別基準本給
② 等級別業績給(組織目標の達成に貢献した成果の評価に基づいて決定する給与)。習熟を考慮して「積上げ方式」を採用、各等級内で、成績の高さに応じて昇号、または降号する。等級内の高い昇給ゾーンになるほど、成績の高さ(低さ)による昇号のメリハリを利かせ、全対象者の昇給額の平均がゼロとなるように成果給テーブルを設計、適用する。
【上級専門職・技能職の給与制度(例)】
給与体系 |
金額設定 |
支給基準 |
基準本給 |
専門等級・1~5等級別範囲給テーブル |
専門レベルの高さ(困難度等)に応じてテーブル適用 |
業績給 |
範囲給テーブルの設定、ゾーン(高・中・低) |
業績の高さ(目標達成度等)とゾーンの位置に応じて昇号。テーブル適用(注) |
(注)業績給テーブルの昇号基準(例)
ゾーン |
業績の高さ |
||||
C |
B- |
B+ |
A |
S |
|
高 |
-4 |
-2 |
0 |
+1 |
+2 |
中 |
-3 |
-2 |
+1 |
+2 |
+3 |
低 |
-2 |
-1 |
+2 |
+3 |
+4 |
この給与制度の効果と留意点
業績の改善による本給のベースアップを行なわなければ平均昇給額(平均昇号数)はゼロとなり、「基準基本給+平均業績給」の平均値は変わらないので、総額人件費管理が容易となりますが、評価基準の整備・運用における公正性・納得性確保を通じて、趣旨徹底に留意しましょう。