上田会計週報『経理処理の留意点 覚えて便利0.9779』2015.09.14
約束は簡単だけど
講師料等の支払いや士業と言われる先生方への支払いは、手取りで約束される場合が良くみうけられます。
講演を頼み「それでは講演料は10万円でお願いたします」と言った時は概ね手取り10万円を想定してのやり取りとなります。
しかし手取りで約束された金額を支払った場合の経理処理は大変面倒なことになります。
何が面倒なのか
企業が講師料や士業と呼ばれる個人事業主への支払いをする場合は源泉徴収税額を徴収して、残りを支払うこととなります。
更に支払った10万円には消費税が含まれていることになります。
そうなるとはたして経理上の講師料は幾らになるのか大変面倒です。
講師料10万円で計算してみましょう
経理上の講師料をAとしますと以下の算式が成り立ちます。
A×1.08(消費税)-A×10.21%(源泉税)
=10万円
Aで括ると以下となります。
A(1.08-10.21%)=10万円
よって
A=10万円÷(1.08-10.21%)
括弧の中の数字が0.9779です。
A=102,259.9447 ……となります。
講師料を102,260円とすると
消費税は102,260×8%=8,180円
源泉所得税は
102.260×10.21%=10,440円となります。
経理処理は以下となります
講師料 102,260 現預金 100,000
仮払消費税 8,180 預り金 10,440
結論としては
手取りで約束された場合、手取り金額を0.9779で割った数字が経理上の経費金額です。しかしこれは源泉所得税が10.21%の場合です。因みに源泉所得税が20.42%の場合は0.8758で割った数字となりますのでご留意ください。