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上田会計週報『日本企業の開発力』2015.08.03

平成26年度、一橋大学経済研究所・都留教授等の研究発表で、「世界の開発拠点としての機能を高めつつある東アジア」で日本・中国・韓国の企業の「製品開発プロセスにおける問題発生と開発担当者個人の解決行動」の比較研究結果が発表され、その内日本企業についての要約は次の通りです。

日本企業の開発担当者の特徴

日本の従業員数200名以上の製造業、50名以上のソフトウェア業、合計72社について調査し、三国間を比較した結果、

中国・韓国企業の開発担当者と比較して、日本企業の開発担当者の特徴は

担当者の業務内問題(不具合など)を現場レベルで解決しようとしている。

担当者の業務外問題(部品間の不具合など)を協力して解決する能動性が高い。

なお、三国とも

担当外問題に対する能動性は、開発組織レベルでの開発成果に影響が大きい。

と発表されております。

上記の①は日本企業では開発部門でも“三現主義”(現地・現物・現実に即して)が浸透しているからだと見られます。また、②は目標管理制度などにより共同目標の設定や担当業務外の問題解決におけるチームワークやコミュニケーションが訓練されているからだと考えられます。

日本の特徴的開発力の要因

このように、日本企業の開発担当者が特徴的な開発力を持つに至った要因は、次の施策が役立っているためと考えられます。

長期雇用により、企業内で様々な開発業務の体験、チームワークによる問題解決の体験を積ませながら専門人材を育成、確保している。

役割等級制度・複線型人事賃金制度により、専門職の役割を明確化し、処遇を管理職と同等としてモチベーションを高めている。

目標管理制度で共同目標の設定、開発目標達成へ向けたプロセスマネジメント、能力開発を巧みに行なっている。

経営者・管理者の留意点

このように、強い開発力を保持しながら、一方で日本企業の開発効率(開発投資当り利益水準)には問題があるとされておりますから、今後は開発投資をより利益獲得に結び付ける経営戦略の策定に注力し、持てる開発力を有効に活用することが必要です。