第17回 治療院の分院展開の注意点
何故分院展開が必要なのか?
最初にある事例のお話をします。本情報をみた治療院の先生から、分院を売却したいという相談の電話がありました。事情をお聞きしたところ、自分は末期癌で医者からあと半年しか生きられないといわれている。ついては、分院は閉鎖して分院長を本院に呼び戻したい。分院長はもともとお弟子さんとして面倒を見てきたひとで、本院に戻って院長とその家族を助けたいといってくれているとのこと。最近は院長と従業員の関係もビジネスライクな関係になっていますが、そんな中とても感動的な話でした。この事例で学ぶことは、事業主に何かあったときに、事業・従業員・家族をどう守るかというビジネス上のリスクヘッジとして、分院展開しながら信頼できる分院長を育てていたということです。一般的には、事業主が自分の所得を増やすために分院展開すると思われがちですが、このようなケースもあるということです。
他に分院展開のメリットとしては、従業員からみると頑張れば分院長になれるという目標ができることです。優秀な従業員を採用し、早期退職を防ぐことができます。いずれ独立しようと考えている従業員にとっても、その前に分院長の経験ができることはメリットでしょう。あと考えなければならないのは、自分はいつまで現場で仕事ができるかということです。30代、40代の働き盛りのときは、この状態が永遠に続くと思ってしまいがちですが、人間必ず老いが来ます。自分の50代、60代の仕事のイメージを考えてみて下さい。現場で治療をしているのか、それとも従業員に現場を任せて管理・指導を行っているのか。徐々に前者から後者に仕事をシフトできれば、年とってからも安心です。
分院展開に必要な人、物、金、情報
分院展開に必要な人、物、金、情報の4点についてお話します。先ず人ですが、分院が成功するも失敗するも分院長次第です。これは、患者がその院の先生につくからです。事業主は分院長を育てなければなりません。しかしこれには時間がかかります。そこで求人誌などで募集する手もありますが、これはリスクが大きくなります。そのような場合は先ず本院で従業員として仕事をさせて、その能力・適正を見極めます。専門学校のときの後輩や、前職のときの同僚、後輩からひっぱってくる事業主の方もいます。
物とは、店舗のことです。ディーラーや不動産屋に声をかけておくと、店舗情報が入ってきます。出店基準についてはすでに本院を決める際に経験済みのことです。コンビニの出店のやり方にドミノ方式という方法があります。これは、ある地域に複数の店舗を出店していきます。このメリットは顧客への認知度が高くなる。物流コストが下がる。治療院の場合は、地域一番店としての認知度が上がる。管理者の移動時間が節約できる。従業員の融通がきくなどのメリットがあります。
金とは、出店にあたっての設備資金、運転資金です。手持ち資金が足らない場合は銀行から融資を受けます。しかし融資を受けて分院出店が失敗したらと考えると、できるだけ融資は受けないやり方を考えましょう。うちのお客さんで上手にやられている事業主の方がいます。居ぬきでオーナーから治療院を買ってしまうのです。現に営業している治療院なので開業準備期間は必要ありません。即、売上がたちます。買収金額も売る側の事情により安く抑えられます。あとは、従業員にしっかりと教育指導をします。前オーナーのときはパッとしなかった治療院も生まれ変わって患者が増えていくのです。
情報とは、集客のためホームページを活用することです。カイロや整体など、100%自費の治療院は、集客のためのホームページの活用が進んでいます。保険が中心の治療院は、まだまだ遅れています。かつて患者は、お店を探すのに電話帳を利用していましたが、最近の患者は、お店を探すのに、検索サイトで、症状と場所を入力します。ここで検索サイトの1ページ目に出てくると、来院の確率がぐっと高くなります。
(全文2000文から、冒頭のみ抜粋表示)
冒頭以降の主な内容
分院長との契約形態
運営上の留意点
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