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第32回 平成23年度治療院の売上・経費データ

上田会計では、個人事業、法人も含めて200件以上の治療院をみております。
今回、 平成23年度個人事業の確定申告が終了したのにあわせて、治療院の売上・経費の統計データ(月次平均値)を公表させていただくことにしました。

対象は、昨年は顧問先の個人事業のみでしたが、今回は顧問先の法人も含めました。
件数の割合は、個人事業75%、法人25%。顧問先の地域は関東圏がほとんどです。
年の途中で開業された場合は、開業月からの月割で平均月額を計算しました。
ただし年の後半に開業され赤字決算となったものは除外しました。

法人については、直近の決算期2期分を使用。そのため、個人事業との比較時期がずれています。また、個人事業と比較できるようにするため、営業経費に含まれている同族関係者の役員報酬は除外。営業外費用の支払利息は営業経費に加算しました。

先ず、売上から見ていきましょう。全件平均値を見ると月売上は平成22年1,989千円から平成23年2,041千円と52千円増加しています。
内訳を見ると保険売上と自賠責収入が増加し、自費収入が減少しています。
このうち個人事業では、売上の構成比率は前年とほとんど同じです。

一方、法人は、売上の構成比が前年と変わりました。
保険売上と自賠責収入の割合が増し、自費収入の割合が減少しました。
平成23年3月には、東北・関東大地震がありましたが、関東圏ではその影響は一時的なもので終わったようです。業界では、保険売上から自費収入に売上構成をシフトしていこうとする動きもありますが、実際は逆の結果になっています。

この業界も過当競争に入ったといわれますが、数値で見るとそんなことはありません。
需要が頭打ちで供給が増えると一件当たりの売上高は減少しますが、前年より一件当たりの売上高が増えているということは、供給が増える以上に需要が増えているということになります。需要の増加原因がもしも高齢化によるものなら、これからも需要は増加して行くことでしょう。この点で弱気になることはないと思います。
この業界の問題は、保険売上に依存しているため、療養費算定基準の見直しが今後どのようなかたちで行われるかでしょう。

医師会と違い、全国組織の業界団体がないので政治力がありません。
今後の課題です。経費については、平成22年に比べて経費合計が1,419千円から1,478千円と、月58千円増加。対売上比も71.4%から72.4%に増加。
内訳で見ると、従業員給与が月52千円増加。増加率10.6%。
対売上比は24.8%から26.7%に1.9%増加。
前年に比べ売上は増えましたが、ほぼ同額従業員給与が増えました。
個人事業、法人とも、人件費率が増加しています。

日本経済はデフレで平均賃金も下落傾向にありますが、この業界の現場では相変わらず人手不足で、給与を上げて従業員を確保している様子がうかがえます。
家賃、減価償却費、リース料、その他経費は前年比で売上構成比はほとんど変わっていません。

結果として営業利益は、前年比569千円から563千円に月6千円減少しました。
人件費率の増加が営業利益減少の主たる原因です。
3年続けて人件費の対売上比率は増加しています。

(以下省略)