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飲食代は全て経費になるか?

治療院を営む山田さんは、残業した従業員に夜食を出したり、晩飯をおごったりします。また、患者さんに誘われて一緒に飲みに行ったりもします。これらの飲食代は全て経費になるのでしょうか。今回は事業に関わる飲食代の経理処理について詳しくみていきましょう。

 

 

従業員の昼食代

治療院の近くに飲食店がなく、毎日弁当を業者に配達してもらい、その弁当代の全額または一部を事業主が負担した場合、これは全額経費になるのでしょうか。従業員を採用する時に、雇用条件を有利にしようと、うちは昼食代もこちらで持つからといって、全額事業主が負担した場合には、その弁当代は従業員の給与になります。具体的には、従業員の給与支給時に、その期間食べた弁当代を食事手当として支給額に加算し、加算した額を課税所得とし源泉税を計算します。そして給与支給額の計算で食事手当を控除します。1ヶ月の昼食代を加算し、同額控除するので、なにもしない場合とかわらないように見えますが、実際には昼食代分給与課税されるので、源泉税がアップし、その分手取りが減ることになります。1ヶ月の給与が25万円、昼食代が12,000円(1500円、勤務日数24日の場合)扶養なしの従業員ですと、源泉所得税が月6,400円から6,820円に420円アップ。同額手取りが少なくなります。事業主に昼食代12,000円を負担してもらい、本人負担は420円(住民税除く)と考えれば従業員から見ても悪くない選択肢です。事業主からみても、弁当代全額給与として経費処理できます。

 

次に、昼食代の全額ではなく一部を事業主が負担する場合はどうなるのでしょうか。この場合も、事業主が負担した昼食代は給与扱いとなります。前述の例で、1ヶ月の昼食代12,000円の半額を事業主が負担した場合は、従業員の給与支給時に、6,000円を食事手当として支給額に加算し、加算した額を課税所得とし源泉税を計算します。そして給与支給額の計算で食事代12,000円を控除します。源泉所得税は月6,400円から6,610円に210円アップします。従業員の昼食代の全額または一部を事業主が負担すると、負担分だけ給与課税され従業員個人の税金負担が増えてしまいます。なんとか従業員個人の税金負担が増えないようにする方法はないものでしょうか。実はそれがあるのです。税務上、食事代の半額以上を従業員が負担し、かつ従業員の負担した金額が月額3,500円(消費税抜きの金額)以下であれば、給与課税されないのです。前述した事例で、12,000円-3,500円=8,500円を従業員個人が負担した場合は、事業主負担の3,500円については給与課税されず、福利厚生費扱いの経費になります。ここで事業主も従業員といっしょに昼食の弁当をとっている場合、同じ扱いができればうれしいところですが、事業主の個人負担になります。法人の場合は、役員も従業員と同じ扱いになりますのでちょっとお得です。ここで給与課税されない月額3,500円は税抜き金額です。税込金額ですと、現在の税率5%の場合、3,685円(3,685円÷1.053,500円・・・10円未満の端数切り捨て)になります。

 

 

残業した従業員への夜食代

患者さんが就業時間内にさばけず、従業員が残業になり、従業員の夜食に出前をとった場合、これは経費になるのでしょうか。また、毎月残業が多く、夜食の回数も多くなった場合はどうなるのでしょうか。所定の勤務時間外に勤務した従業員に対して夜食を出した場合は、給与課税はありません。福利厚生費扱いの経費になります。また回数が多くなると給与になるということもありません。治療院が夜10時まで営業している場合に、午後7時から10時が勤務時間の従業員に、午後7時の始業前に夜食を出した場合は、残業した場合にはならないので給与扱いになります。

 

 

行事に伴う飲食代

従業員を慰労するための忘年会や新年会は、事業主が負担する費用が、通常行われる忘年会の費用として相当な金額であり、かつ従業員の全員を対象にしている場合は、福利厚生費として経費になります。その費用が不相当に高額であったり、特定の従業員だけで開催した場合は、交際費や給与課税になります。税法では“相当な金額”についての具体的な定めはありません。忘年会に従業員の全員に声をかけ、結果として一部の従業員が欠席した場合は福利厚生費で問題ないと考えます。忘年会の後の二次会でカラオケや居酒屋に行った場合の飲食代は、税務上の具体的な規定はありませんが、過去の税務調査では公式の行事ではないとして経費処理は全て否認されています。

創業記念パーティーなどを院内で行い簡単な飲食をする場合、おおむね一律に供与される“通常の飲食に要する費用”は福利厚生費になります。同様のパーティーを院外で行った場合は、院内で行う場合と同程度のものであれば、その費用は交際費や給与には含まれず、福利厚生費として扱われます。ここでの判断基準となる“通常の飲食に要する費用”についても税法上具体的な定めはありませんので個々の事情により判断することになります。

 

 

患者や業者、従業員との飲食代

税法上、交際費とはその「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」(以下得意先等)に対する接待等のために支出するものになります。ここでの得意先等には、直接その事業に取引関係のある者だけではなく間接にその事業の利害に関係のある者、及び自社の役員、従業員、株主等も含まれます。治療院の場合、「得意先等」にあたるのは患者、業者になります。従業員も「得意先等」に入ります。個人事業の場合は、交際費は全額経費になりますが、法人の場合は、一部が経費になりません。具体的には中小企業の場合、年間600万円まではその10%が経費になりません。600万円を超える部分は全額経費になりません。例外として、一人当たり5,000円までの飲食代については全額経費処理できます。例えば、年間の交際費が400万円の場合は、その10%の40万円が経費になりません。700万円の場合は、600万円の10%の60万円+600万円を超えた100万円の合計160万円が経費になりません。

法人の場合は、交際費と会議費をはっきり区別します。交際費は前述したように一部が経費として認められませんが、会議費は全額経費として認められるからです。税法上、会議費とは会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用になります。具体的には、来客との打ち合わせ、社内会議等で、その際に通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用等です。仕事が終わって従業員と一杯やりながら仕事の話をした場合はどうなるのでしょうか。これも会議といえば会議です。アルコール類が出て昼食の程度を超えるとみなされた場合は交際費になります。この場合、個人事業だと交際費として全額経費処理できます。法人の場合は、交際費は一部経費になりませんが、前述したように例外として一人5,000円までだと全額経費にできます。

 

 

飲食代の税務調査

個人事業の税務調査では、個人的な飲食代が事業経費のなかの福利厚生費や交際費等に含まれているのではと調査官は考えます。調査官は、調査日の前に過去の決算書の科目別増減分析を行い、増加している経費、同業他社に比べて対売上経費率の高い経費をピックアップします。交際費や福利厚生費が大きく増加していたり、対売上経費率が高いと要注意です。調査時によくあるのは、元帳で交際費や福利厚生費の明細をみて、各々誰と食事をしたのか教えてほしいといって、直近事業年度の全件について、資料の提出を求めてきます。ひどい場合は、過去3年分全て求めてきます。このようなことにならないように領収書の裏に、接待した相手先の氏名とその関係を記載しておくようにしてください。

調査官は、飲食代の領収書をみて。。。以下省略