治療院向け月報2015年12月号
こんにちは。手技療法会報委員会です。
第51回は、「第20回治療院経営セミナー」の概要をご紹介させていただきます。
■第一部:施術者1名3床の治療院での自費導入
第一部では、株式会社クワトロハート(以下、当社)の清水先生から、まだ小規模院だったころに自費導入を進めた時のお話をしていただきました。
自費導入にはいくつかパターンがありますが、「保険+自費(保険と自費を組み合わせて施術)」→「完全自費(基本的には保険施術は受け付けない)」→「施術以外のサービスを提供する」という流れで自費を導入されたとのことでした。
【ツールの重要性】自費を導入する際は、「ツール」をきちんと用意しておくことが重要です。たとえば、初診時に、他院との違い(自院の強み)、施術スタイル(当社では、40分の施術時間のうち、施術時間は10分だそうです)、料金、これからの流れ、などをまとめ、患者様にお伝えしています。
このツールを作る前に、1か月でリピート獲得ゼロ件というスタッフがいました。様子をうかがうと、伝えるべきことは伝えていました。しかし、その順番やタイミングがずれていたのです。そこで、このツール(当時は1枚紙でした。今では改善を重ね、内容も充実しています)を作成したところ、きちんとリピートしてもらえるようになり、今ではそのスタッフは月に260万円の売上をあげられるほどになりました。
【コミュニケーションの重要性】また、コミュニケーションも重要です。患者様の中には、こちらの話を聞いてくれない人もいます。その理由は、実は患者様は自分の話を聞いてほしい、と思っているからかもしれないのです。そこで、「イエス3連発」といって、お客様の言葉をおうむ返しするなど、きちんと3回リアクションを取ってあげると、こちらの話も聞いてくれるようになります。また、話の中で、「~~ですよね?」と、「イエス」の回答を簡単にもらえそうな質問を繰り返していき、患者様が「イエス」と言いやすい雰囲気を作る、などのテクニックもご紹介いただきました。
【経営者としての決意】ただ、一番大切なのは、実際に何か一つでもやってみること、とのことです。自費を導入する際は、3つの人格がせめぎ合うそうです。それは、患者様の体を治したいと純粋に考える「治療家」、現状をうまく回したいと考える「マネージャー」、現状をより良くするために何ができるかと考える「経営者」です。自費という新しいことを進めるのは、このうち「経営者」としての人格ですが、他2つの人格はこれを妨害しようとするかもしれません。自費を導入するためには、経営者としての決意が求められそうです。
■自費施術の実施における、法律面での留意点
第二部では、未来創造弁護士法人の三谷先生から、保険と自費を組み合わせる際の留意点を、問診票や領収書といった観点からご紹介いただきました。三谷先生は、治療院に特化され、多くの治療家を顧問先として支援をされています。
問診票では、自費施術の併用を明記するなどにより患者様からのクレームを抑えるほか、患者様のお困りごとを聞くなど自費施術へのきっかけ作りなども意図するとよいとのことでした。領収書では、自費施術の価格設定の適切さを意識することで、後日の保険者や税務署からの指摘を防ぐことができます。また、保険は有資格者、自費は無資格者であればOKという認識は、誤りである、といったこともご紹介いただきました。