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治療院の月次試算表・決算書とキャッシュフロー

 

試算表・決算書の概要

 

毎月の経理処理を行うと、月次で試算表が作成できます。この試算表はどのように見ればよいのでしょうか。試算表は、図のように貸借対照表と損益計算書からなります。先ず、貸借対照表は、ある時点での財政状態を表します。具体的には資産として現預金や売掛金、建物付属設備、工具器具備品などの内訳を金額で表します。

 

この各々の内訳を勘定科目といいます。負債として未払金や銀行からの借入金などの内訳を金額で表します。資産から負債を差し引いたものを純資産といいます。この純資産は個人事業では。元入金と、利益の合計になります。これに対して損益計算書は、ある期間の経営状態を表します。具体的には収益として売上高や雑収入などの内訳を金額で表します。費用として人件費や家賃、消耗品費などの内訳を金額で表します。収益から費用を差し引いたものを利益といいます。損益計算書の利益は貸借対照表の利益と一致します。この月次試算表の12か月分に減価償却などの決算整理を加えたものが決算書になります。

 

簡単な事例でどのように決算書が作成されるか見てみましょう。この事例は平成20年11月までの試算表が既にできており、12月の取引を処理することにより12月の試算表が作成され、これに減価償却と自賠責の未収分の売上計上を行うことで決算書が作成されています。決算書上の各勘定科目についてその合計金額の取引毎の明細を記録したものを総勘定元帳といいます。そこで決算書の内容についてその詳細を調べるときは、先ず総勘定元帳を見ます。そして特定の取引を特定したら、その証憑(請求書や領収書)を見ます。気になる税金は、この決算書の利益をもとに計算されます。

 

会計上の利益

 

では、経営者の視点から今月あるいは今年いくら儲かったかはどこを見ればよいのでしょうか。これは損益計算書の一番下の当期純利益です。そしてこの利益はどういった原因でそうなったかを表すのが、その上にある収益と費用です。

 

図の例では、年間の売上高が13,000千円。この売上高をあげるための費用が、給与、家賃、支払利息、減価償却費の合計7,550千円になっています。利益を増やすためには、売上高を増やすか費用を削減するかです。費用は売上高の増加に比例して増加するものと、そうでないものがあります。治療院の人件費は売上高が増えると比例的には増えないで段階的に人を入れる都度増えていきます。売上高が増加していく過程で、スタッフを新規に入れないで既存のスタッフでうまくまわせれば利益がでます。曜日や時間、季節などを考慮してスタッフの平均稼働率を高くするノウハウが利益を生みます。売上高が減ると、直ぐに解雇はできないのでかなり遅れて人件費も減ります。この間赤字になるので歩合制給与、パート、アルバイトの活用で赤字幅を減らします。治療院の売上に対応する主たる原価は人件費です。したがってこの人件費をできるだけ売上に比例させるようにすること、売上高に対する人件費率をできるだけ低くすることがポイントです。

 

具体的には、年間で一番低い稼働率の時に合わせて正社員を確保し、これを超える稼働率の時期はパート、アルバイトを活用するというやり方があります。売上高に対する人件費率のめどは30%です。月額百万円稼ぐスタッフの給与は30万円ということです。家賃は毎月変わりません。売上高に対する家賃費率のめどは10%です。個人事業ではこの損益計算書の利益から生活費、住宅ローンの返済を行ないます。毎月の利益が生活費、ローン返済額を上回ると貯蓄ができるようになります。下回ると持ち出しになってしまいます。事業ローンの返済金のうち、利息部分は費用となり既に利益から控除されています。元本部分の返済は、この利益からしなければなりません。

 

キャッシュフロー

 

次にキャッシュフローについてお話します。キャッシュフローという横文字を和訳すると現金収支のことです。これは一か月営業していくら現金が残ったかということです。これは試算表上の現預金の増減になります。事例では12月一か月の取引で現金が250千円増加しています。

 

この原因は、窓口現金売上300千円-給与支払300千円-家賃支払200千円+保険入金600千円-借り入れ返済150千円=250千円。一か月の現預金の増減明細はいちいち取引を追っていかなくても現金、預金の総勘定元帳に記載されています。会計事務所に記帳を依頼している場合は、一か月の現預金の総勘定元帳、補助元帳(現金の種類別、預金の銀行別に集計したもの)がほしいといえばすぐに見せてもらえます。会計ソフトで自ら経理処理している場合は、すぐに打ち出しができます。ある月、試算表を見ると現預金が大幅に減少していた場合、その原因が思い浮かばないときは、その月の総勘定元帳を見てみましょう。税金の支払いや高額の施術用器具の購入など大口の支払いが見つかります。

 

会計上の利益VSキャッシュフロー

 

実は会計上の利益と現金の増減額は合いません。これを事例でみると、平成20年11月30日の貸借対照表の現金残高が5,000千円、12月31日の貸借対照表の現金残高が5,250千円。差し引き250千円現金が増えています。それに対して12月一か月の利益は450千円です。

この差はどこからくるのでしょうか。事例の場合、現金の入金のない売上(保険請求売上)が700千円。現金の入金はあったが、会計上の売上にならないもの(保険入金)が600千円。現金を支払ったが経費にならないもの(借入金の元本返済)が100千円。会計上の利益450千円-現金の入金のない売上700千円+現金の入金はあったが、会計上の売上にならないもの600千円-現金を支払ったが経費にならないもの100千円=現金増加250千円。これは費用、収益の計上時期とキャッシュの増減時期がずれているのが原因です。

 

治療院の場合は、窓口現金売上は収益の計上時期とキャッシュの増加時期が一致していますが、保険請求売上やクレジット売上は施術した月に収益の計上を行いますが、入金時期は何カ月か遅れます。借入金の返済はどうして全額経費にならないのかという質問がよくあります。これを逆説的にいえば、借入金の入金があったときこれは売上にならないのかという質問になります。これはだれが見ても売上とは考えないでしょう。借りた時に売上にしないので返す時も経費にならないということです。これは単なる貸し借りで損益に関係ない取引になります。決算書で大きく利益とキャッシュフローのずれる原因は、減価償却です。減価償却費は経費になりますが、現金の支出は生じません。これは、金額が一定額以上で、その効果が1年以上に及ぶものを会計上「資産」といい、キャッシュを支出して購入した時には経費として認めず、その支出の及ぶ期間にわたって減価償却費という名目で経費計上するためです。テナントとして入店した際、家主に支払う敷金・保証金は、キャッシュは出ていきますが、退出時に戻ってくるため会計上は「資産」になり経費にはなりません。キャッシュフロー計算書というものがあります。これは、会計上の利益とキャッシュの増減を計算書の形にして明らかにしたものです。上記の相違点が明示されています。

 

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