会社設立・法人成りについて
手技療法家必見!治療院(接骨院・整骨院)の法人成りに関する流れと注意点!
接骨院、整骨院、鍼灸マッサージの治療院を経営していて、売上がある一定規模を超えて来ると、法人成りといわれる会社組織化した方が税金対策になると言われています。
分院を展開してどんどん規模を大きくしたいという先生の考えもあれば、地道に治療院を経営して地域の人たちに貢献したいだったり、保険は将来的に頭打ちだから自費に専念する、というように事業主様によって考え方は様々です。
ただし、順調に規模を大きくして売上を上げているのであれば、必ず通るのが個人事業主のままが良いのか、それとも法人成りをした方が良いのかという点です。 今回は治療院の法人成りに関する流れと注意点についてまとめてみましたので、興味をお持ちの方はご覧ください。
法人成りシュミレーション例
治療院・接骨院・整骨院・鍼灸マッサージの法人成りのメリット・デメリット
説明をわかりやすくするために、現在の治療院の前提条件としては以下のように考えたいと思います。
前提:個人事業主(治療院)⇒自費売上が2年前から1千万円を超えてしまい、来年から課税事業者の予定。
治療院(接骨院・整骨院・鍼灸マッサージ)を個人事業主から法人成りするメリット
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①消費税が免除になる
消費税の納付が2年間免除されます。例外はありますが、この場合は個人のまま事業を続けると翌年から消費税を払う必要があります。そのため法人成りをすると、あと2年は消費税を払わなくても済むことになります。
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②役員報酬を支払う事になるので所得税が安くなる
先生にも給与(役員報酬)が支給されることとなり、所得税の計算をするうえで有利になります。実際に所得税を計算する場合の基準になる数字で見てみましょう。
売上が1千万円、経費が400万円とします。また、法人での利益が全て給与(役員報酬)とした場合を前提とします。 個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた後に青色申告特別控除の65万円を差し引いた残りの535万円に対して所得税の計算がされます。 一方、法人成りして給与(役員報酬)として支給された場合、経費を差し引いた後の600万円に対して一定の計算方法で算出した金額(600万円-600万円×20%+54万円)=426万円)の426万円に対して所得税の計算がされます。 このような仕組みによって法人成りした方が税金が安くなるかもしれないわけです。
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③原価償却に関して
減価償却費の計上が任意になります。前提として赤字の場合、個人事業主ですと、赤字でも必ず減価償却費は計上しなければいけませんでした。しかし、法人の場合ですと赤字の場合は計上をすることもできますし、計上をしないこともできます。このメリットは次の説明にも関係してきます
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④青色申告の繰越欠損金の繰越が最大
これは、先ほどの3つめのメリットをご説明したことに関係するのですが、法人の場合、赤字の金額を最大10年間残すことができます。この赤字は、利益が出た年にその利益と相殺することができます。相殺しきれなければ残りは繰り越すこともできます。そのため、法人で赤字の場合、無理に減価償却費を計上して赤字の金額を大きくするより、計上をせずに利益が出た時に計上をした方が有利になります。無理に計上してしまうと、10年間の間に利益と相殺しなければならなくなるからです。ちなみに個人の赤字は3年間しか繰り越せません。
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⑤生命保険の経費計上が可能
これは法人の節税対策の一つでもあるのですが、保険の契約内容によってその支払額(掛金)の全部または1/2を経費として計上できます。メリットとはいえ、保険料を支払っている時は節税になりますが、将来的にはその掛金が戻ってきた場合は利益として計上されることになるため、運用の仕方を考えなければなりません。
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⑥社会的信用力を得られる
社会的信用力の具体的な例として、外部に組織としてアピールできる(登記することで、誰でも簡単に法務局で会社情報も得ることができる)ことが挙げられます。また、組織としてみられることが大きな信用にもつながります。この他に、大きな会社の中には、「個人では取引はしないが、法人であれば取引をする」というところもあります。
治療院(接骨院・整骨院・鍼灸マッサージ)を個人事業主から法人成りするデメリット
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①赤字でも最低7万円の均等割の納付が必要
個人事業主の場合は、赤字だと税金は発生しませんでした。接骨院・整骨院が法人成りをすると、会社が存在するだけで発生する法人住民税とよばれる税金を最低でも7万円納めないといけません。
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②設立登記費用が発生する
法人として登記する必要があり、そのための書類の作成・登記の手続きにかかる司法書士への費用や、実際にかかる費用(登録免許税・印紙税等を含みます)がかかってきます。おおよそ30万円ほどになります。
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③社会保険に加入しなければなりません
個人事業主の場合は従業員が4人以下の場合は加入はしなくてもよいのですが、法人の場合は1人でも加入しなければなりません。社会保険は個人と法人で折半して負担することになりますが、実際に社会保険料を納めるのは法人のため、給与支給額の約15%程が毎月現金で出ていくことになります。この負担が大きく、法人の継続が困難になるケースもあります。
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④交際費の制限がある
今回のケースの場合、法人としては中小企業という扱いになるため、交際費は年間800万円までは経費として計上が可能になります。ただし、今の所そこまで使うことはないかと思います。
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⑤事務的な負担が増加する
これは一般的に言われていることで、今回のケースの場合、こちらで記帳等させていただいているため、このまま継続して処理を行っていればまず問題ありません。
ここまでが法人成りに対するメリット・デメリットの説明になります。
治療院(接骨院・整骨院)が法人成りをする時の流れ
では実際に法人成りをする場合、どういったことが必要になるかをご説明します。
法人成りをするためにはまず定款を作成します。定款とは、法人がどんなことを事業として行うのか、どんな人が法人を作ったのかなど、法人のルールを盛り込んだ書面になります。
この書面の作成には司法書士の先生に依頼することになります。司法書士の先生は当社が提携している先生をご紹介いたします。
司法書士の先生と定款を作成していただき、登記まで進めていただきます。登記が完了すると法人が設立されたことになります。そのあとは金融機関で法人口座の開設やこれまで個人として契約していた支払い等を法人名義に変えるなります。
※法人成りした年は、個人の確定申告と法人の確定申告の2つを行いますので、個人の確定申告料と法人の確定申告料がかかります。
法人成りに興味のある方はお気軽にご相談ください
接骨院・整骨院Smileでは法人成りをした方が良いかどうか悩んでいる手技療法家の先生の無料相談を承っています。
会計・経理でお困りの事があれば何でもご相談下さい。法人成りに関しても、売上や経費や組織の状況によって実際に法人成りした方が良いのかどうかは悩ましいところです。
接骨院・整骨院Smileでは、お客様については無料で法人成りシミュレーションを実施していますので、高い確率で法人成りをした方が良いかどうかの検討をつける事が可能です。