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上田会計週報『建設業許可と決算報告の重要性』2018.07.23

 

建設業許可と決算報告

許認可を取得している場合、その種類によっては事業年度終了後に許認可を管轄する官公庁へ決算報告を行う義務があるものも存在します。建設業許可もそのひとつ。税務署への決算申告だけでなく、事業年度終了後4か月以内に許可を申請した行政庁に対しても決算報告を行うことになっています。

各工事の経歴・施工金額も一緒に報告

建設業の決算報告では財務状況の他、年間でどのような工事を請け負ったかを報告する工事経歴書や、工事ごとの施工金額について報告する書類も併せて提出しています。一口に「建設業許可」といっても、「建築一式工事」や「内装仕上工事」など許可される工事の種類は29もあり、これらの書類は許可を持っている工事の種類ごとに作成しなくてはなりません。現在許可を持っていない種類の工事を行った場合には、「その他工事」として計上します。

たくさんある請求書から、工事の種類ごとに抜き出して各工事の施工金額を計算するのは結構な手間がかかります。ましてや「その他工事」などと言われると、あまり重要性が感じられず、つい他の工事にまとめてしまいたくなるかもしれません。ですがこの「その他工事」、面倒でも真面目に報告していないと、後々後悔することになる恐れもあるのです。

実務経験が証明できない?!

先述のとおり、工事の種類は29も存在しますので、請負状況の変化などで工事の種類を追加したいと考えることもあるでしょう。こうした追加を行う際、追加したい工事の種類について、これまでの施工実績を実務経験として証明しなければならないケースもあります。たとえば「内装仕上工事」の許可を持っているA社が、今度は「大工工事」の許可を取得するため、これまで行ってきた大工工事に関する実務経験を証明したいとします。このとき、これまでの決算報告で「その他工事」をしっかりと計上せず、全ての施工実績を「内装仕上工事」としてまとめて報告してしまっていると、内装仕上工事以外の請負工事は行っていなかったものとして、実務経験を証明できないという事態になりかねないのです。後で痛手を負わないよう、報告は慎重に行いましょう。