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今後の接骨院の就労者数、店舗数の推移

接骨院を営む山田さんは、仕事が忙しく、従業員の募集をしていますが、なかなか求職者がきません。まわりの同業者に聞いても同じような状況だそうです。少子化で若者が減少しているそうですが、その影響なのでしょうか。また、近くに同業者が出店しました。今後も同業者の出店はこのまま続くのでしょうか。今後の自院の患者数の減少が気になります。今回は、過去の統計データ(厚生労働省統計資料)をもとに、今後の接骨院の就労者数、店舗数がどのように推移していくかを試算してみました。今後の採用戦略、経営戦略の参考にしてください。

 

 

今後就労者数は毎年4,150人増加する

掲載した表は、柔道整復師の国試合格者、就労者数、施術所数の平成14年以降のデータです。この表を見ていると、各々の数値間の相関関係が見えてきます。先ず、毎年の国試合格者と就労者数の推移を見てみます。厚生労働省の統計データは2年毎の公表なので、国試合格者は2年毎の合格者数累計と就労者数を比較します。平成16年の2年間の国試合格者数4,323人(平成15年3月、平成16年3月)、就労者増加数は2,594人(平成16年度末)。合格者数に対する就労者増加数は60%です。毎年の国試合格者が就労者数を押し上げていることがわかります。100%にならないのは、就労しない人、転業、廃業した人がいるためです。平成16年から平成22年までこの割合は50%台半ばから60%強の間で推移していましたが、平成24年に83%に跳ね上がっています。これはいったい何が原因なのでしょうか。国試合格者の推移を見ると、平成14年から毎年合格者が増加し、平成20年に合格者数が5千人の大台に初めて乗りました。その後は4千人台半ばから5千人台半ばの間で推移しています。平成20年以降の大量合格者が労働市場に参入、施術所数も増加し、事業者も未経験者でも積極的に雇用をした結果と推測されます。では、これからの就労者数はどのように推移していくのでしょうか。専門学校の数、ここ数年の合格者数から、ここ数年は国試合格者5千人ベースが続くものと考えます。そして、就労者が平成24年の増加率83%で推移すると、毎年4,150人就労者が増加することになります。この計算で行くと、今年平成26年末には就労者数は66,696人になっている見込みです。平成14年末が32,483人ですから12年間で2倍以上になる見込みです。

 

 

今後施術所数は毎年全国で3,005件増加する

就労者数が増加すると、その後就労者として経験を積んだ柔整師が独立開業するので、施術所の数も時間差(5年から10年後)で増えていきます。平成14年の就労者数32,483人に対して施術所数は25,975件。一施術所当たりの就労者数は1.25人。このなかに事業主も含まれますので一施術所当たりの柔整師従業員数は0.25人です。一施術所当たりの就労者数の推移を見ると、そんなに大きな変動がないことがわかります。平成14年の1.25人から平成24年の1.38人と徐々に人数は増加していますが、微増です。これは平成20年以降、毎年大量合格者が労働市場に参入してきたことが原因と考えられます。では、今後の施術所数はどのように推移していくのでしょうか。一施術所当たりの就労者数が、平成24年の1.38人でここ数年も推移すると仮定すると、毎年3,005件施術所が増加します。平成26年末の施術所数は48,288件、平成30年末には60,306件になり、全国のコンビニ件数を上回る見込みです。国試合格者が就労しその後開業するまでの期間を10年と見ると、平成28年までは国試合格が平成18年までの合格者が少ない世代になります。国試合格が平成20年以降の大量合格世代が開業するのは平成30年以降になります。今以上の増加率で施術所が増加する可能性があります。

 

 

地域別施術所数~関東圏では今後毎年1,003件増加

公表されている柔整師の都道府県別就労者数を見ると、関東圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)で全国の33.4%(3分の1)、近畿圏(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山)で23.5%。両地域合計で56.9%です。この就労者数割合から施術所数を推計すると、平成26年末で、関東圏は16,141件。近畿圏は11,366件。平成26年の年間施術所純増数は、関東圏は1,074件、近畿圏は757件になります。今後、毎年全国で3,005件施術所が増加し、その33.4%が関東圏とすると、毎年1,003件の増加になります。

 

 

推計の限界

当然ですが、ここでの推計には限界があります。あくまでも供給側の数値からの推計です。平成24年、平成25年と、一施術所あたりの売上実績は前年割れでした(弊事務所顧客データより)。総需要は伸びていますが、供給側ほど伸びていません。供給過剰傾向になりつつあります。ただここ数年先までの推計については、そんなに大きく外れることはないと考えています。問題は、、、以下省略