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空家の活用

治療院を営む山田さんは、相続した実家が空き家になっており、このまま持っていた方がいいのか、売った方がいいのか、貸家にした方がいいのか悩んでいます。

 

空家のままだと

 

平成27年度税制改正により、一定の基準に該当した空家を所有している場合には、固定資産税の優遇措置を受けられなくなりました。固定資産税の優遇措置とは、住宅が建っている敷地について、固定資産税を優遇する措置で、その敷地の固定資産税の課税標準額が最大で評価額の1/6になります。一定の基準に該当した空家とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態などに該当した空家で市区町村が認定を行います。山田さんは実家をこのまま放置しておくと、固定資産税が大幅に上がるのではないかと心配です。

 

売却した場合は

 

では売却した場合税金はどれくらいとられるのでしょうか。不動産を売った場合、売った売却代金から取得費と仲介手数料などの費用を差し引いた金額が譲渡所得となり課税されます。税率は20.315%です。山田さんのように親から相続した敷地、家屋については親の取得費をそのまま引き継ぎますが、取得時の売買契約書等が無く取得費が不明の場合は、売却代金の5%が取得費になります。

 

この場合譲渡所得が売却代金の約9割となり税金が多額となるため売却をためらうケースもありました。そこで国は空家の放置を減らすため、平成28年4月以降に一定の条件で空き家を売却した場合は、譲渡所得から3千万円までの特別控除ができるようにしました。

 

ここで一定の条件とは、1981年5月までに建てられた一戸建てで、亡くなった人が一人暮らしをしていた自宅。相続発生以降、住んだり、貸したり、事業をしたりしていないこと。相続発生の3年後の年末までに売ること。家屋を解体するか、新耐震基準を満たすよう改修して売ること。売却価格が1億円以下であること。新耐震基準を満たすよう改修して売るのには費用がかなりかかるので、家屋を解体して売るケースが多くなると思われますが、早くに解体してしまうと、敷地の固定資産税について前述の優遇措置が受けられなくなるので、買主が見つかってから解体するようにしましょう。

 

売却価格には、売り主が既に支払った固定資産税のうち、売却日以降の部分を清算金として受け取った場合、この清算金も含まれますので売却価格が1億円以下かどうかの判定時には注意が必要です。

この3千万円の特例とは別に譲渡所得を下げる税制があります。相続税の取得費加算の特例です。この特例は、相続時にかかった相続税の一部を取得費に加算できるもので、相続発生から3年10か月以内の売却が条件になります。この特例は3千万円の特例と併用ができないので、有利な方を選択することになります。

 

貸家にすると

 

立地と家屋の状態によりますが、貸家にして毎月家賃収入を得る方法があります。地元の不動産屋さんに相談すれば、家賃相場からしてどれくらいの家賃になるのか、改修が必要か、その場合の費用などがわかります。家屋が古くて改修に多額の費用がかかる場合、家賃での回収に長期間かかるようであれば、売却した方がよいということもあります。家賃収入は税務上不動産所得として年間の収支を集計して確定申告を行うことになります。

 

既に治療院を個人事業主、青色申告で営んでいる場合は、事業所得とは別に不動産所得について記帳を行い帳簿を作成することになります。不動産収入には、毎月の家賃収入の他に、更新料、礼金等も含まれます。不動産事業の経費となるのは、固定資産税、修繕費、火災保険料、不動産屋へ支払うテナント募集費・仲介手数料・管理料、家屋の減価償却費等です。賃貸にするための改修費は10万円以上であればいったん資産計上し、減価償却で費用化します。改修費について借り入れをした場合は、その支払利子が経費になります。年間の不動産所得が赤字になった場合は、他の所得と損益通算できます。これは事業所得が黒字の場合は、不動産所得の赤字と相殺ができるということです。

 

しばらく貸家事業を続けて、より利回りのいい物件に「買換え」、「交換」したい場合に節税のできる税制があります。「特定の事業用資産の買換えの特例」を利用して買換えた場合は、譲渡資産の売却額と買換え資産の取得価額のうち、いずれか少ない方の金額の80%について譲渡所得課税を繰り延べることができます。この特例の要件は、買換資産を、資産売却した前年か、当年か、翌年に取得すること。売却資産の所有期間がその譲渡の日の属する年の1月1日において10年を超えるもの。買換資産をその取得の日から1年以内に事業に使用すること。さらに対象資産は地域、面積等の要件があります。不動産の「交換」の場合も特例があり、要件にあえば譲渡所得課税されません。

 

「民泊」に使う

 

最近流行りの「民泊」に使うことはできるのでしょうか。「民泊」については法律が流動的で、今後も変わっていく見込みですので、現時点での山田さんの実家について検討してみます。

 

「民泊」は旅館業法に基づくやり方と、国家戦略特区で旅館業法に基づかないやり方があります。旅館業法に基づいて行おうとすると、自治体の条例・規則に適合しているか。建物は建築基準法に適合しているか。例えば耐火性能、排煙設備、非常用照明設備等があるか。住居から旅館への用途変更はできるか。物件のある地域は旅館の営業が認められているか等々というように条件が厳しくて、単なる空家での「民泊」は現実的には無理のようです。

 

そこで現在法律作成中の「民泊新法」を見てみると、山田さんのケースでも民泊活用が可能になりそうです。「民泊新法」は「既存の住宅を活用した宿泊の提供」「既存の住宅を一日単位で利用者に貸し出す一定の要件の範囲内で有償かつ反復継続するもの」で、家主居住型と家主不在型に分かれます。山田さんの空家は家主不在型になりますが、この場合は年間提供日数が一定の範囲内(90日から180日になる見通し)、住宅専用地域でも可、民泊施設管理者が必要。山田さん、「民泊新法」が施行されるまで空家のまま待ってみますか?

 

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