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生前贈与の活用

治療院を営む山田さんは、子供二人が来年大学と高校に進学する予定です。入学金や授業料などがかなりかかりそうです。山田さんは、かつて治療院の開業資金の一部を親に出してもらったことがあります。また親にお金を出してもらうのは気がひけますが、ここは一度お願いしてみようかと考えています。ただ開業時に親に出してもらったお金は、そのままだと贈与になると聞き、親からお金を借りて返済することにしました。そういえば、教育資金を祖父母から孫に贈与した場合は贈与税がかからない制度ができたという話を聞いたことがあります。いったいどんな制度なのでしょうか。今回は、生前に親から子または孫に金銭等を贈与した場合、税金がどのようにかかるのかみていきましょう。

 

 

相続より贈与の方が不利?

日本では、個人が亡くなった際に、金銭や株式、不動産などの遺産についてこれを相続した人に相続税が課税されます。ここで、この相続税の課税をされないように生前に子供に金銭等を渡すことが考えられます。ここで課税をしないと、相続税逃れになってしまうので、贈与税を課税するのです。同じ金銭を相続するよりも贈与の場合の方が、税率が高く、非課税枠も小さく不利になっています。例えば、一千万円の金銭を親から相続した場合、基礎控除により相続税はかかりません。一方贈与により一千万円の金銭を親から贈与された場合、231万円の贈与税がかかってしまいます。

贈与の基礎控除額は年間110万円です。金銭等の贈与を受けた人はその額が年間で110万円までなら、贈与税がかからないということです。1,000万円の贈与を受けた人は、110万円の基礎控除額を差し引いた890万円に対して課税され、贈与税231万円をその受けた年の翌年3月15日迄に申告・納税をします。

 

 

贈与の具体的なやり方

そこで財産が多く相続税も多くなりそうな親は、子供に毎年110万円贈与すると、10年間だと子供1人毎に1,100万円非課税で贈与が出来てしまいます。この場合注意するのはそのやり方です。一回の贈与毎に子供と贈与についての覚書を交わし、子供が管理している預金口座に振り込み、記録を残しておいてください。親名義の通帳から子供名義の通帳に預金を振り替えても、子供名義の通帳と印鑑を親が管理している場合は、この子供名義の預金は実質的に親の預金だとして贈与と認められず、相続財産になってしまうことがあります。

 

 

親からの開業資金・事業資金の受け方

山田さんが治療院の開業資金・事業資金を親から一千万円出してもらい、この返済は不要といわれたら、うれしい半面、贈与になってしまい、231万円の贈与税を支払うところでした。ここで親から出してもらった一千万円の受け方は、「相続時精算課税」制度を使うか、親からの借入金として毎月返済するかです。「相続時精算課税」制度は、生前贈与額が累計で2,500万円までは非課税になります。そのかわり相続時にこの生前贈与額も相続財産に含めて相続税の計算をします。今回は一千万円なので贈与税はかかりません。

親からの借入金にした場合は、毎月なり毎年なりの定期的な返済が必要ですが、途中で親が亡くなった際の残金が900万円だった場合、この子への貸付金900万円を本人が相続すると親からの借入金900万円と相殺され、借入金はなくなり、他に相続財産が無ければ相続税もかかりません。マジックのようですが本当の話です。

さらに実質的に返済しなくても借入金が減って行く方法があります。毎年の返済額と支払利子額の合計が110万円以下の場合は、毎年の贈与の基礎控除額の範囲内になり、毎年の返済額と支払利子額の合計をいったん親に返済し、その後贈与してもらうと、その贈与額には贈与税がかかりません。お金は行って来いですが、借入金は減って行きます。ここでお金のやりとりをしないで、借入金の返済額の免除を受けた場合は、個人事業を営んでいる山田さんが事業資金としての借入金の返済免除を受けたことになり、贈与ではなく債務免除益という所得が山田さんにたち、所得税を納めることになる場合があります。お金のやりとりを行っても内容によっては同じ扱いになることもあります。このあたりを実際に検討される場合は、事前に専門家にご相談ください。

 

 

教育資金贈与の1,500万円の非課税特例

山田さんが知りたかった教育資金贈与の1,500万円の非課税特例について、その概要を述べます。この制度では、平成25年4月1日から27年12月31日までに、30歳未満の者が直系尊属から教育資金の贈与を受けた場合、受贈者1人当たり累計で1,500万円まで贈与税が非課税になります。教育資金の使い道は、学校入学金、授業料等、学校以外に支払う金銭の一定額(塾など学校以外にかかる支払は500万円が限度になる)です。。。以下省略