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令和1年度治療院の売上・経費データ解説

毎年、ご契約いただいている顧問先様にご提出している治療院統計データ分析内容について一部をこちらで公開させていただきます。

ミネルバ税理士法人の統計データについて

ミネルバ税理士法人では、個人事業、法人も含めて350件以上の治療院をサポートしています。今回、治療院の売上・経費の統計データ(月次平均値)を公表させていただくことにしました。対象は、顧問先の個人事業及び法人。事業所の内、個人事業形態の割合は73%、法人形態27%。顧問先の地域は関東圏がほとんどです。年の途中で開業された場合は、開業月からの月割で平均月額を計算しました。ただし開業半年未満の治療院は除外しました。
法人については、直近の決算期を使用。そのため、個人事業との比較時期がずれています。また、個人事業と比較できるようにするため、営業経費に含まれている同族関係者の役員報酬は除外しています。一事業所毎の数値にして法人、個人事業の違いなく数値を比較できるようにしています。具体的には、個人事業でも分院がある場合は、本院と分院別々に分けて一事業所毎の売上・経費の平均値を計算しています。法人についても同様です。

売上~自費収入増で保険売上と自賠責収入の減少をカバー

まず、売上からみていきましょう。全件平均値をみると、月売上は1,302千円となり、昨年からほぼ横ばいとなりました。昨年と同様に自費収入が増加していますが、増加率は4%にとどまり、昨年の16%増加と比べると落ち着いた増加幅となっています。保険売上は15千円(2%)の減少となり、保険者の審査の厳格化による自費施術への移行が現在も続いていることが分かります。

経費については、経費合計が894千円で前年比6千円(1%)減少しました。経費率(経費計÷売上合計)は69%前後と変動がありません。内訳でみると、広告宣伝費、交際費、福利厚生費、その他経費が増加。結果として令和1年の営業利益は、前年比6千円(1%)の微増となりました。

個人事業の営業利益は減少、法人の営業利益は増加

個人事業についてみると、保険売上、自費売上などすべてで昨年を下回りました。経費の削減も進みましたが、売上の減少を補いきれず、営業利益は23千円(7%)の減少でした。一方法人は、売上は121千円(6%)増加、経費は43千円(3%)増加し、利益は78千円(15%)増加でした。

売上、営業利益上位20%の特徴

売上上位20%の平均値をみます。令和1年は自費収入とともにその他(物販等)が大きく増えました。物販売上の比率の大きい事業所が上位20%に入ってきたほか、新しい商品を取り扱うなどにより物販売上を大きく伸ばした事業所もありました。月売上は2,764千円となり、前年比128千円(5%)の増加となりました。広告宣伝費やその他経費などが増加したため、経費総額は70千円(4%)の増加となりましたが、営業利益は59千円(8%)の増加となっています。

東京は“東京23区内”で売上増加

最後に地域を東京23区内、東京23区外、神奈川県、埼玉県、千葉県、その他の6つに分けたデータをみてみます。東京23区内は、月売上が1,383千円となり、前年比54千円(4%)の増加でした。保険売上はまた減少に転じてしまいましたが、自費収入は前年比78千円増加となり、勢いを増しています。ほかに月売上が増加したのは埼玉県のみでした。営業利益が増加したのは、東京23区外、神奈川県、埼玉県となっています。

新型コロナウイルス感染症で保険売上、自費収入ともに大幅減

令和2年3月11日、WHOは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を「パンデミックとみなせる」と発表しました。わが国では4月7日に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、及び福岡県の7都府県を対象として緊急事態宣言が発出され、4月16日には対象が全都道府県に拡大されました。
現在では解除されていますが、この緊急事態宣言を境に、経済活動は大きく抑制され、治療院業界においても大きな影響が出始めました。そこで、4月までの月次データをもとに、新型コロナウイルス感染症が治療院業界の経営に対してどのような影響を与えているのかを整理しました。
なお、持続化給付金の受付が5月1日に開始されています。その申請のため、経営状況が大きく悪化した事業者のほうが、4月の月次試算表まで作成されている割合が大きいことが考えられ、今回の統計データでは実際よりも影響が大きく出ている可能性があることに留意が必要です。また、自賠責収入は、期中は現金主義(施術した月と売上計上する月がずれる場合が多い)で売上計上している場合が多いため、ここでは保険売上と自費収入について整理をしています。
4月までの月次資料をお預かりした事業所についてみると、保険売上は1月の528千円に対し、2月531千円(0.5%増)、3月523千円(0.9%減)と横ばいで推移してきましたが、4月は383千円(27.5%減)と大きく減少しています。自費収入をみると、1月の392千円に対し、2月417千円(6.4%増)、3月393千円(0.2%増)と推移してきましたが、4月は267千円(32.0%減)と大きく減少しました。

以上になります。
こちらの内容は、一部を抜粋したデータになります。正式版の内容についてはご契約いただいている顧問先様に毎年作成してご提出・アドバイスを行っています。
統計データを把握することで、他院の状況や傾向を知ることができます。お気軽にお問合せください。