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治療院の確定申告の留意点

治療院を営む山田さんは、そろそろ確定申告の時期になり、税金がいくらくらいになるのか気になってきました。今回は個人事業を営む事業主の確定申告の留意点についてお話しします。

 

 

申告作業前に確認しておく

今年の納税額は大体いくらくらいになるのか知りたい方は、前年の申告書をみて、変更のあった箇所を加算減算することで、納税額の試算をすることができます。今年の大きな変更点は復興特別所得税の納税が始まったことです。本税の2.1%が加算されます。事業所得を確定させるために決算を行いますが、その前に確認しておくことがいくつかあります。今回の申告は青色申告か白色申告か。青色申告の場合は、青色申告特別控除や青色専従者控除、家事関連費、少額資産の必要経費算入などの恩典があります。白色申告者は、合計所得300万円以下の場合は、これまで免除されていた記帳義務・記録保存義務が平成26年分の所得から適用されることになり、白色申告の恩典がなくなってしまいます。青色申告にされたい場合は、平成26年3月15日までに青色申告の届け出を税務署に提出すれば、平成26年分から青色申告の適用になります。

 

 

消費税の課税業者か否か

次に消費税の課税業者か否か。消費税の課税判定は、従前前々年の課税売上が一千万円を超えるかどうかでしたが、消費税法の改正により、平成25年より前年の特定期間の課税売上高が一千万円を超えると本年より課税業者になる要件が追加されました。具体的には平成24年1月~6月の課税売上高が一千万円(同期間の給与等支払額の合計額で判定することもできる)を超えた場合は平成25年度は課税業者になります。平成24年中に開業された場合は、開業月から6月までの課税売上高(又は給与等支払額)で判定されます。平成24年7月以降に開業された場合は判定不要です。接骨院・鍼灸院の場合は、社会保険施術収入、自賠責施術収入は非課税になります。保険外施術収入、テープ等販売収入が課税売上になります。カイロや整体の施術収入は全額課税売上になります。事業収入以外に収入のある場合は、このうち課税売上分を加算して判定します。例えば、不動産所得のある方は、賃貸の使途が居住の賃貸収入は非課税ですが、事業用店舗・事務所として賃貸している場合は課税売上になります。

 

 

収入金額の確定

一年間の事業所得を確定させる作業を決算といいます。先ず、一年間の収入金額を確定させます。次に必要経費を確定させます。その収入金額から必要経費を差し引いたものが事業所得になります。中でも売上高の確定が一番重要な作業になります。治療院の場合、税務上施術を行った日に売上が立ちます。社会保険適用の施術代が1,000円。そのうち本人負担額が300円、保険者への請求額が700円の場合、施術日の売上は、患者からもらった300円だけではなく、保険者への請求額700円も売上になります。実務では、その日に現金でもらった金額を日計表に記入し、これを窓口売上に計上し、保険請求額は、請求額が確定した時に計上するか、振込があった時に売上に計上しています。決算時には、その年に施術して、まだ年末までに入金のないものを追加で売上に計上します。保険請求団体からの入金が、施術月の翌々月(請求月の翌月)の場合は、11月施術代が翌年1月入金、12月施術代が翌年2月入金となりますので、11月12月の保険請求額を売上に追加します。その際、既に返戻がわかっている部分は加算しません。自賠責の場合も考え方は同じです。保険会社への請求が翌年になったとしても、年内の施術分は売上に計上しなければなりません。接骨院の税務調査では、金額の多い保険請求売上と自賠責売上の計上漏れが重点的に調べられます。

このような決算作業が複雑で煩わしいという小規模事業主向けに、現金主義による経理が認められています。青色申告者のうち、前々年分の事業所得と不動産所得の合計(専従者給与控除前)が300万円以下の人で、適用を受ける年の3月15日までに税務署に届け出をすることで、現金主義経理が認められます。現金主義経理にすると、決算時に未収分の売上の計上をする必要がなくなります。

 

 

必要経費の確定

湿布、テープ等施術用品は年末に棚卸をします。品目毎の数量と単価を記載できる棚卸表を用意します。単価は、売価ではなく直近に仕入れた用品の納品書に記載された仕入原価を使います。その際、単価が消費税税抜か税込か確認します。税抜の場合は、集計した合計金額に消費税を加算します。

従業員の給与については、支払ベースではなく、発生ベースで経費計上します。末締めで翌月5日支払の場合、12月分の給与は翌年1月5日に支払いになりますが、12月の経費として計上できます。20日締め、25日支払の場合は、12月21日から年末までの日割り給与分を12月の経費として計上できます。

決算で一番わかりにくいのが減価償却です。内装代や治療用器具等購入代が10万円以上の資産については、購入時に全額経費にならず、税務上定められた耐用年数にわたり経費にできます。10万円以上20万円未満の資産は、3年間で均等償却できます。12万円で買ったパソコンは3年間、各年4万円経費にできます。さらに青色申告の場合は、30万円未満の資産について購入時に全額経費処理ができます。また、減価償却資産のうち、年内に除売却したものがないか確認してください。

 

 

自動車事故の保険金

個人事業主が事業用に使っていた自動車が事故で使用できなくなり廃棄し、車両保険金が入った場合の処理はどうなるのでしょうか。。。以下省略