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上田会計週報『テロ等準備行為と節税』2017.04.17

節税行為がテロ等準備行為だって?

クローズアップ現代というテレビ番組をみていたら、国会に提出され、今国会での成立が期されているテロ等準備罪法案は、組織的犯罪集団の関与が想定される犯罪として、277の犯罪類型に対象を絞り込んでいる、との解説があり、その277の犯罪類型の一つに「節税」がある、と大きく字幕表示されていました。

出演者の一人も、節税対策を練っていて、結果的にそれをやめたとしても、準備行為はしていたわけなので、「テロ等準備行為」と見られる可能性は残る、との趣旨のことを言っていました。

節税がどうして、テロ等準備罪法案での規制対象になるのだろうか、と不思議に思いました。

テロ等準備罪法案をみてみると

この条文案を確認してみると、テロ等準備罪法案の対象は、「テロリズム集団」と「その他の組織的犯罪集団」です。「その他の組織的犯罪集団」とは何かというと、「別表第三」に掲載される罪を実行しようと計画した者が該当します。

この「別表第三」には、税に関しては、①軽油の不正製造・軽油取引税の脱税、②関税法違反の不正輸出等、③偽り不正の行為で所得税・法人税・消費税を免れること、などが記載されています。

これら①②③は刑事罰規定ですが、行為計算否認の税法規定の適用で、すべて合法の行為でも、上記③の偽り不正行為の対象とされる可能性がないわけではありません。

偽り不正行為規定の適用に至る回路が遮断されていない以上、節税プラン作りが即「テロ等準備行為」になる、というテレビ番組の警告は、その通りかもしれません。

節税プランを練っていた段階で、内部告発でそれが暴かれ、それだけで、「組織的犯罪集団」のレッテルが貼られるとしたら、民間企業としては命とりです。

何を取り締まろうとしているのか

テロ等準備罪との活字が躍る中で、「節税」がそれに含まれるとするには、あまりにも違和感があり過ぎます。税の部分に関しては、税理士会も意見を言うべきです。

印象としては、テロ及びその準備行為を取り締まるものとの謳い文句なのに、「節税」まで対象にするような、便乗しての対象領域の拡大があるのでは、と感じてしまいます。